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コラム 樹海

 今年の日本の冬至は二十二日だった。この日の正午に於ける太陽の高度は一年中でもっとも低くて昼が一番短い。東京の昼間は九時間と二十五分であり、この日を境にして日は長くなる。このために春が近づくことから「一陽来復」と称し、ゆず湯でゆったりとしたあとはカボチャを食べる習慣が今も伝わる▼つまり―陰が極まって陽に転ずる日なのである。このように冬至を敬い祝う習慣は日本だけではなく、いろんな民族が共有するものであり、正月やキリストの降誕祭も冬至に由来するの説明が今も有力なのである。事実、キリストが生まれた年月を書いたものはない。ベツレヘムの厩で生まれたことになっているけれども、聖書にも何年の何月何日とは書いていない。このために信徒らも困ったらしい▼今のように十二月二十五日を「ナタール」としたのは紀元354年とされるが、これとてもきちんとした根拠があるわけではない。紀元200年頃は5月20日が生誕の日とされたりもしているのである。その頃のローマでは冬至の日に太陽を拝む習慣があり、新しい暮らしの始まりとする考えが強かった。そのために十二月二十五日を選んで「キリスト降誕祭」にしたらしい▼と―「ナタール」の日付けも難しいが、もう1700年近くも続いているのだから快く「キリストの誕生」を心から祝いたい。近ごろは信徒ではなくとも、イブには大いに呑み、跳んだり撥ねたりの踊りも盛んである。が、織田糸音の「異教徒のわれら聖夜を飲みあかす」もなかなかに味がある。 (遯)

04/12/25