12月28日(火)
去る十一日、サンパウロ市近郊のジャカレイ市にあるコチア農業学校の研修生三十九名が卒業した。卒業式は、ジャカレイ文協会館で行われ、卒業生たちはジャカレイ市副市長で元コチア農学校教務主任のマリア・クリスチーナ・デ・パウラ・マシャード女史から激励の言葉を受けた。
卒業したのは、南米農業後継者研コースの第五期生二十三名、土曜研修コースの第四期生二名、栄養管理コースの第三期生十四名、だ。自らコチア農業校の管理責任者を経験しているジャカレイ日伯文化体育協会の天海カルロル会長も卒業生たちの前途に大きな期待を抱いており、一人一人に握手をしながら励ましていた。
南米農業後継者研修はオイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)が米州開発銀行(本部・ワシントン)の無償資金協力を得て二〇〇〇年から実施している広域人材育成プロジェクトで、十一日に卒業した五期生を含め、これまでに南米八カ国(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、パアグァイ、ペルー、ウルグァイ)の研修生、男子百十一名、女子五十八名、合計百六十九名が卒業している。
土曜研修コース(本紙・〇四年四月二十七日報道)は研修期間が二年半で、受講生に年齢制限がない。定年退職後に土を相手に農業を志す希望者が多く、今回を合わせて卒業者は二十五名を数えている。
栄養管理コースは始まって三年目だが、最近の健康志向を反映してか受講希望者が多い。受講生に女性が圧倒的に多いのが特徴だ。第三期生を含めて四十二名が卒業している。
もともと、コチア農業学校は日系子弟の育成を主たる目的にコチア産業組合の創立六十周年記念事業の一環として開校(一九八七年)された経緯がある。時代の流れに沿って取り巻く環境が変化し、今では南米全域を対象とする農業後継者人づくりセンターに変貌しつつある。運営母体は(社)コチア農業教育技術振興会だ。
研修生は非日系子弟がほとんどながら、学理と技術に優れた、菅原エドワルド、佐々木エジガルドら日系二世が指導の中核となっており、国際的な開発金融機関の支援を受けながらも、ブラジル日系コロニア発の希有な国際協力活動として注目されている。今は第六期研修生たちが研修に励んでいる。卒業生の中の六名(ブラジル四、パラグァイ二)が今年四月から日本の農家で一年間の実技研修に励んでいるようだ。