インドネシアのスマトラ島沖で巨大な地震が発生し大津波の猛威がスリランカやインド、タイなどに襲い掛かった。まだはっきりとした犠牲者数は不明だけれども、死者は二万人を超えるの情報が伝わっている。この津波はアフリカや南極でも観測されており明治二十九年に起こった「三陸明治地震津波」と同じ規模らしい。あの三陸津波では死者が二万二千六十六人もあり波の高さは三十八メートルと記録されている▼地震津波のあった二十六日は日曜日。朝とはいえ青い海に見とれながら散策していた人々も多かったろう。それを目指すかのように高さ十メートルもの「水の壁」が襲い掛かってくる。旅行者や漁民らは波から逃れようと走りまくるのだが津波の足は速い。時速が約七〇〇キロとも八〇〇キロものスピードで高波は走る。最新式の戦闘機と同じ速度の「波濤」が襲撃してくる恐ろしさ―は人の想像を超える▼目撃者は「死者の頭は崩れ片手はなく―」と悲惨さを語っているが、明治三陸津波の伝承碑にも「死者は頭脳を砕き、或いは手を抜き足を折り実に名状すべからず」と惨状を伝えている。旧国名の陸前、陸中、陸奥の総称が三陸なのだが、この一帯は昔から津波を何回も経験している▼このために地震津波からの教訓を学んでおり、地震と津波は繋がっている。ところがスマトラ島沖では、この連携が無かったらしい。人的被害が大きいのもこれが原因とされるが、こんな天災の無い新年をと祈っている。 (遯)
04/12/28