1月4日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】ジョゼ・セーラサンパウロ市長(ブラジル社会民主党=PSDB)は一日、第五十一代サンパウロ市長に就任早々、サンパウロ市議会の議長選で黒星を期した。議長選出の直前にトリポリ市議(PSDB)は離党を表明、野党票を取り込んで議長席を獲得した。一方、セーラサンパウロ市長は前市長が予定していた入札を全て中止、前市政時代の下請け契約の見直しを行うとの声明を発表した。
セーラ新市長が就任早々期した黒星は、五期市議を務めるロベルト・トリポリ市議が環境問題に詳しく、新市政の環境課長を希望していたのに就任できなかったためとされる。新市長は環境課長に選挙で功労のあったエドアルド・ジョルジ市議(緑の党=PV)を起用したのが原因らしい。
PSDBはトリポリ市議会議長を党から追放する意向。一方、同議長は市議会の各執行部委員長を野党市議で固めた。新市長は、全てが前市長の差し金であるともらした。
野党市議らによる迅速な根回しは、アニャンガバウー宮で行われた市長就任式を重苦しい雰囲気にした。就任式に参席したPSDBの長老カルドーゾ前大統領やアウキミンサンパウロ州知事、大統領代理のバストス法相らは、全てに優先して倫理を求める新市長の就任演説を聞かされた。
同議長の選出に先立ち、アロイジオ・N・フェレイラ元PSDB党首がトリポリ市議の造反収拾に奔走したが、徒労に終わったようだ。同市議は労働者党(PT)を中心とする野党市議を集め、議長席の獲得を画策した。同市議の根回しの際には乱闘騒ぎも起きる一幕があった。
サンパウロ市議会で与党が議長席を失うのは、九二年以来の珍事とされる。サンパウロ市が実施する数々の事業計画は、市議会議長の采配に拠るところが大きい。同議長が計画案を差し戻し、表決を遅らせることもある。議案可決への議長の影響は甚大といえる。
セーラ市政は、苦戦の初年度となりそうだ。PT陣営はPSDB市政の揚げ足を取ることで、二〇〇六年の州知事選を照準に入れた動きを始めたようだ。
セーラサンパウロ市長は就任第一声、前市政が結んだ契約すべての見直しを宣言した。また、予定されていた入札も全て中止した。新市長は契約額の再交渉を行い、差額を新規優先事業へ回す考えのようだ。前市政の契約には水増し価格が多いと新市長はみる。新市政が第一に目指すのは、均衡財政としている。
市の公共サービス下請け企業が契約価格の見直し交渉に応じない場合は、法令に準じて決着をつけるという。まず俎上に上がっているのが、契約期間が十年間にわたる交通関係の百二十三億レアル。続いて二十年間にわたるゴミ回収の九十八億レアルなどだ。契約内容を技術面と採算面、法律面で見直し、契約の継続が妥当であるか再検討すると新市長は表明した。
契約見直しには前例がある。コーバス前サンパウロ州知事は九五年、前任者から引き継いだ二十億レアルの債務を再交渉した。その結果、毎月五千万レアルを節約できた。その他、前市政が生み出した原因不明の債務も多数あるとみられている。