1月4日(火)
「新年こそ、日系社会の団結を! 百周年の頃には六世も生まれるだろう。七世、八世のために祝いましょう」。九十二歳にしてますます元気なサンパウロ日伯援護協会の和井武一会長は、一日午前十時から文協記念講堂で行われた総領事館と五団体共催の新年祝賀会で、万歳三唱の音頭をとるに先立って語った。思い思いに正装した老若男女が昨年の二倍以上の約五百人も集まり、百周年まであと三年に迫った新年への期待をにじませた。
ブラジル日本都道府県人会連合会の高橋一水副会長の司会により、最初に文協合唱団のリードで「君が代」とブラジル国歌が斉唱され、続いてブラジル日本文化協会の上原幸啓会長が挨拶した。
創立五十周年の記念事業として記念講堂に空調設備を取り付け、「文協のシンボル施設として末永く利用してもらいたい」との願いを述べた。「百周年の前哨戦と位置付け、不退転の決意で取り組みます」との意志を表明した。「改革なくして成長なし」という小泉首相の決り文句を引用し、「そのまま現在の文協に当てはまる」とした。
イグアスから早朝の飛行機で帰聖する予定だったが、突然便がキャンセルされたため出席できなくなった石田仁宏在聖総領事の代理で、丸橋次郎首席領事があいさつ。「日本や世界的には暗い話題の多かった昨年だったが、経済回復基調に乗るなどブラジル国内では明るい話が多かった。今年はルーラ大統領が訪日する予定であり、日伯関係が再活性化する明るい見通しになっている」との展望を述べた。
万歳三唱の音頭をとった和井援協会長は、「来るべき百周年には一世はもちろん六世までの日系社会全体が団結して祝いましょう」と元気いっぱいに語りかけ会場からの拍手を誘いつつも、そのためには「もっと実現しやすい百周年記念事業を」とチクリ。
次に、レキオス芸能同好会の十六人の若者による、舞台狭しと踊りまわる沖縄の太鼓が十分間ほど披露された。
その後、大サロンへ移動し「一月一日」の歌を楽しく合唱。ブラジル日本商工会議所の田中信会頭が乾杯の音頭をとって、総領事館が提供した日本酒一升瓶六本、文協が用意した六本、岩手県人会からの「南部美人」などで祝杯が挙げられた。文協は三百三十個の紅白餅を用意して参加者に配ったが、あっという間になくなった。
参加者 昨年の2倍=「100周年祭も成功させて」
文協記念講堂で行われた新年祝賀会の参加者に新年への期待や抱負を聞いてみた。松本正夫さん(87、福岡)は「つつがなく百周年祭を成功させてほしい。百周年は一世あってのもの。盛大に最後を祝ってほしい」と語った。
西山洋さん(79、熊本)は「みんなで百周年で万歳できるように、世代を超えて団結してほしい」と新年に期待している。脇山正之さん(72、佐賀)は「日系人は、いい意味でブラジルに同化してきている。同時に、日本文化、日本語を後世に伝える活動をより活発化させてほしい」と願っている。
十四歳で渡伯し、養鶏一筋にやってきた水本彰さん(89、岡山)には子ども七人、孫十五人、ひ孫が四人もいる。「祝賀会の後、家に帰って、今度は家族でお正月を祝います」と語った。六歳で渡伯した谷中美恵子さん(82、東京)は「若い人が大学出ても就職先がない。もっと雇用が増えてほしい」と期待する。
子どもたちがブラジル人と結婚している高桑節子さん(70、東京)は、「そういう若い世代が入りやすい雰囲気にコロニアがなってほしい。中でも一生懸命日本語を勉強しようとしている、そういう人にもバックアップを」と語った。