メメント・モリ。死を想え、あるいは死を忘れるな、などと訳されるラテン語の格言を改めて心に刻んだ年明けだった。
中世ヨーロッパの道徳哲学で、神に頼らず自分の意志で死を受け入れよと促す。ペストが大流行した世相を反映する。伴って絵画では死に関する表現が増え、中でも頭蓋骨が盛んに描かれた。
インド洋大津波の被害、そして亜国で起きた火災事故。その惨事を伝える映像を繰り返し見るうち、他人事では済まなくなった。いずれ不意に訪れるだろう、己の死をも直視させられたのだ。
年越しの夜は白い波間にシャンパンと花束を放ち、夜空の花火に歓声を上げる。来伯以来そんな浮薄ともいえる態度で年末年始を過ごしてきたが今年はいくらか自重。メメント・モリの警句を想い起こし念じた。(大)
05/01/04