1月5日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】フルラン産業開発相は三日、〇四年度の貿易黒字が三百三十六億ドルと、過去最高に達したと発表した。輸出九百六十四億ドルに対し、輸入六百二十七億ドルだった。しかし、〇五年はドル安のため輸出が苦戦を強いられ、昨年比一〇%から一五%増に留まると同相は述べ、それに反し輸入は、昨年比二〇%から三〇%増と予測した。一方、サンパウロ州工業連盟(FIESP)は、レアル通貨の過大評価が失業を招くと警告した。
過去最高に達した〇四年度貿易黒字は三日、産業開発相から発表された。十二月の貿易黒字は三十五億ドルに達し、三十億ドル以上の黒字を計上した月としては今年七回目だった。十二月の輸出だけで、昨年比三〇%増を記録した。
しかし、産業開発相は〇五年の輸出戦略について、勝ってかぶとの緒を絞めるよう関係者を戒めた。〇四年とは事情が一変し、輸出は予想を下回る一千八十億ドル程度に止まるとの見解を示した。〇四年の輸出は前年比三二%増だったが、〇五年は昨年比二〇%から三〇%増とした。
〇五年の貿易収支は米政府のドル安政策のインパクトを受け、ブラジル製製品は輸出競争力を大きく抑制される。特にドル安の打撃を受けるのが、靴や自動車など。鉄鋼の国際価格が〇四年当初より高値で維持されているため、鉄鋼価格に大きく左右される自動車産業への影響は大きいとされる。反面、消費財の輸入は大きな弾みを受けて、飛躍するとみられる。
〇五年の経済成長は、国内市場育成で輸出の落ち込み分をカバーする必要がある。健全な輸出の伸長には、それを支える適切な規模の国内市場が必要。現在進行中の設備投資が結果を見せるのは、〇六年以後とみられる。国内市場は長い時間をかけて地道に育てるものと同相は述べた。
同相の見解では、〇四年の経済成長は大豆景気のお陰だったという。柳の下にいつもドジョウがいると思うなと忠告した。同相は中央銀行の通貨政策と為替政策に不満があるが、口外はしなかった。産業界はドル安基調にギアの入れ替えをする必要があり、調整のために時間がかかることが予想される。
国内産業を活性化するため、不利な為替事情と農産物価格の低迷に苦しむ輸出産業を多様化する必要があると同相は述べた。〇四年の輸出産業で気を吐いたのが、手工業品の五百二十九億ドル、前年比三三・五%増だった。一次産品は二百八十五億ドルで、前年比三四・七%増であった。
一方、FIESPは、政府がインフレ抑制を優先し為替政策で重大な過ちを犯していると非難。前政権が九五年から九八年までに採った為替失政の轍を踏んでいるとした。〇五年に一ドル二・七レアルが定着するなら、貿易黒字は百五十億ドルに後退し、おびただしい失業者を巷間に輩出すると警告した。
世界経済は中国市場のかげりと米公定歩合の引き上げで景気が圧迫されている。国内では為替政策不在で、輸出関係者は板挟みとなっていると抗議した。