1月5日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十二日】経済学者のエドアルド・ジアネッチ氏は、マルフ元市長が掘ったトンネルは堅牢だが、マルタ市長が掘らせたトンネルは雨が降ると雨漏りがすると言った。それでも同氏は、理想社会を夢見て軍政時代を生き抜いた労働者党(PT)の闘士を応援する。ブラジルは未来に向けて力を蓄えるべきだという。
次はフォーリャ紙記者と同氏のインタービューだ。
【なぜ金利は高いか】原因は二つ。一つは、レアル通貨の信用がまだないこと。もう一つは、ファンドが短期配当するからだ。将来の大を取るか、現在の小を取るか。高金利は中央銀行だけの責任ではない。低所得者が月利九%のローンを払うのも原因の一つ。
ブラジル人は高金利を容認している。これが当国の文化であり歴史感であり、長いインフレ体験で身に付いた習癖でもある。心理的に、輝ける未来のために現在の苦を辛抱できるかできないかだ。
【三年前、PTは社会主義を断念して自由主義へ鞍替えすると予言したが】それはPTが、南アフリカのマンデラ政権や英国のブレア政権と同じ道を歩いているからだ。まず両国は、経済発展を可能とする通貨政策策定のため、中央銀行へ特別優秀な人材を起用した。ルーラ大統領も同じ。大衆迎合主義に対抗するため、通貨制度のセーフガード方式を採った。
【PT政権は、経済改革でルビコン川を渡ったのか】政権が発足した〇三年、ルーラ政権は財政の荒療治を行った。大幅に通貨を切り下げ、為替調整を行った。これでインフレは止まり、まずは成功した。〇四年は景気回復を期した。短期のマクロ政策はよいとして、景気が回復するかどうかの分水嶺だった。景気は上向いたが、まだ本物ではない。
本物の景気回復は、民間投資によるインフラ整備が生むサービスの質と料金の設定基準から割り出されるもの。次のリスクは、〇五年と〇六年に予想される低経済成長。ここで国民が納得する経済成長が実現しなければ、政府の反主流派がいっせいに経済政策を非難し、内部で分裂が起きる。
【レッサ社会経済開発銀行総裁を辞任に追い込んだ考え方をどう思うか】レッサは異質だった。始めから陸の魚だった。レッサ辞任で、根本的な問題を解決したわけではない。長期の任意融資には、資金がない。広い未来への視野が、ブラジル人に欠けるのが問題だ。
未来への構想がないため、社会保障制度や教育、社会資本でつまずく。朝投資し夕方に回収して、いくら儲かったか計算するのがブラジルの慣例だ。果物の苗を植えても、実を食べられるか分からない奴隷の考え方に似ている。
【視野の狭さは、政治にもあるか】カエターノ・ヴェローゾの歌ではないが、サンパウロはどこも工事中、それとも遺跡か。マルタのトンネルは、完成と同時に雨漏りとヒビ割れだらけ。いかにも選挙用の安普請には、視野などない。
【教育政策の手落ちは】教育が全人教育でなく、知識の切り売りになっている。公立校は、勉学に勤しむ雰囲気ではない。教師は義務的に教える振りをし、生徒は学ぶ振りをするだけ。
【政府は教育を二の次に?】人的資源は教育から始まる経済理論の第一歩に、政治家は気づいていないようだ。ブラジルの就学率は九七%というが、学力は最低クラス。学力は生徒の家庭の経済力が影響するというが、アジア系の学生を見る限りそれは当たらない。