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南米大陸は「約束の地」=ブラジルは10年内に食糧大国へ

1月5日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】ニューヨーク・タイムズ紙は十三日、南米大陸は穀倉地帯として、世界の歴史を書き換えるような時代が到来すると特集で報じた。
 世界広しといえども耕作可能な面積が現在豊富にあるのは、南米大陸を除いて他にない。南米大陸は人類最後の「約束の地」で、ブラジルは十年以内に米国の農業生産を追い抜き、世界の食糧大国に躍り出ると明言した。
 過去十年間のブラジル農業の技術革新は、驚異の的となっている。ブラジル農業の発展は、国際市場と二人三脚で採った経済政策の成果といえる。耕作不可能とされた熱帯地方の土地を、緑の穀倉地帯に変えた農業技術は絶賛に値する。
 ブラジルの単位面積当たりの生産量は、欧米の水準を遥かに凌駕した。熱帯地方は二毛作が可能なので、さらに有利だ。訪伯したパウエル前国務長官は帰国後、ブラジルは農産物戦略でグローバル市場を席巻し、農業で世界覇権に挑戦するだろうと述べた。
 南米がブラジルを中心にアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアを率いて農業国連合を組織するならば、戦略的にも予想以上のインパクトを世界にもたらすと予告した。
 ブラジルで過去五年間、静かな革命が起きているとロドリゲス農相が述懐した。ブラジルは、世界に誇る農業の最先端技術を開発した。農業なら、世界のどの国とも十分対抗できる実力を備えていると豪語した。
 グローバル・インパクトは、想像以上に強力だ。米国は食糧の輸入が、輸出を超過した。米国農業は衰退期に入ったと米政府も自認している。米国アイオワ州農業連盟は、ブラジル農業に対し降参した。認めたくないが事実だという。米食糧メジャーは、将来の食糧戦略を視野に入れ、競って大資本をつぎ込みつつ、ブラジルにシフトしている。
 ブラジルの開拓者は家族を引き連れて、文明とは縁遠い、電気もトイレも水道もない僻地をいとわず風土病と戦いながら開拓に挑んだ。大きな未来を夢みて、想像もできない質素な生活に耐えた。今日は遥か彼方の地平線をも取り込む、大農場主となっている。
 大農場主らは、飛行機で播種や消毒、除草、施肥を行う。宇宙衛星で世界の作付けとシカゴ穀物市場を凝視している。また中国やロシア、パキスタンの消費市場を掌中に把握した。
 道路や鉄道などインフラの未整備は、農業生産者が徐々に投資をすることで農業大国にふさわしい整備を行うと考えられる。これまでのモノカルチャーから抜け出し、農業が大きく変貌している。