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ドル安は一時的現象=侮れない米経済の底力

1月5日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】二期目のブッシュ政権が、ドル安政策を採り、財政赤字の削減に努めると宣言した。ブラジル政府は、米国と中国、EUの通貨政策の背景を模索している。ノーベル経済学受賞者のロバート・ムンデル氏は、それでもドル安は過度的現象としてドルの実力を強調、次のような見解を述べた。
 世界各国の通貨は、中国通貨に翻弄されたと同氏はみている。だが中国経済は徐々に減速し、アジア諸国を道連れにする。それでも中国の国際競争力は盤石。中国の安い賃金は、人民元レートの切り上げを行っても為替差損を十分消化できる。失業者が二億人増えるのが心配なだけで、中国経済は揺るがない。中国経済のバブル崩壊は米国の一存にかかっている。
 米国の経済成長率は〇五年、EUや日本を上回る。ユーロは一・七〇ドルまで上がるという予測があるが、同氏は否定。多くの国は〇五年、米国を下回る経済成長で通貨が下がる。ブラジルも含め、米国の恩恵を受けると予測した。
 十二月第二週目のドル安は、EUで輸出業者の軒並み倒産をもたらしたが、米政府にとってはドル安の効果は余りない。ドル安政策の導入は、財政赤字がクリントン前政権の対GDP(国内総生産)四・五%から五・〇%へ増加したことの結果に過ぎない。
 〇五年の国際経済見通しを同氏は楽観視する。米国経済は順調に伸び、ブラジルも便乗のチャンスがある。ドル・レートよりもレアル・レートを少し引き下げれば効果は大きく、ブラジル経済が軌道に乗る。
 人民元レートを切り上げると、ドルも高騰する。現在の中国人労働者の給与ベースは一時間当たり〇・五ドルで、人民元切り上げにより一時間一・〇ドルに上がっても、米国の給与ベースには程遠い。むしろドル安は、アジア周辺諸国を揺さぶるだけだ。
 中国の通貨切り上げは考え難い。切り上げても、変化は起きない。中国通貨の固定相場は十年間続いている。九七年のアジア通貨危機では、国際通貨基金(IMF)が為替調整を進言したが、固定相場を貫いた。