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伝説の石?=釣り人が魅せられ死に至る=イーリャ・ベーラ十分に留意を!

1月5日(水)

 サンパウロ州北部海岸の観光地、イーリャ・ベーラ(ilha bela)。クリスマスから新年にかけて、多くの観光客で賑わった。この島に、「日本人の石(pedra de japones)」と言われる岩がある。海釣りのスポットだが、日本人の釣り人ら十人以上がこれまで、波に飲まれて死んだことから、この名が付いたという。
 イーリャ・ベーラには、対岸のサンセバスチョンから、バウサ(balsa)で約十五分。十二月末日、サンセバスチョン側でガイド・マップが配られ、海水浴場などが紹介されていた。
 石を叩けば音が出るペドラ・デ・シーノは、観光スポットとして有名だ。だが、「日本人の石」はガイド・マップを探しても、見当たらない。係りの女性は「大まかな地図だから、ここには載せていないのよ」と言う。
 バウサで渡って、セントロとは逆の南方面に向かう道を十キロほどいった地点に、目的の石はあるようだ。現地在住者に聞けば、誰しもがその存在を知っている。ただ、どことなく表情が冴えない。
 潮が引いている時に、岩に渡れる。しかし、満潮になると岩が沈んでしまい退路を絶たれる。カサゴ科の一種ガロッパ(garoupa)などの恰好の釣り場だが、潮が満ちてくるのを忘れて、釣りに夢中になった釣り人が、過去、少なからず命を落したらしい。
 現地在住者たちの話では、犠牲者数は十人を下らない。少なくとも二十年以上も前から、「日本人の石」と命名されているという。
 海岸を見下ろしながら走る道路には、宿泊所(pousada)やバールなどが営業、観光客の姿が目立つ。奥に進むに連れて人影も疎らになり、急なカーブが続いていく。この日の午前、空は晴れ渡っていた。ところが、午後には雨雲が低くたれこめ、バウサを渡って間もなくどしゃ降りの雨になった。
 十キロほどの地点で住人に位置を確かめると、「この先、アスファルトが終わってしまう」と、雨天の中このまま進んでいくことを暗に警告。「日本人の石」を目前にしたところで、断念せざるを得なかった。
 後で聞いた話しでは、現地の人も余り寄り付かないとか。いつの日か、伝説の石になるかもしれない。