1月6日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】セーラサンパウロ市長就任直前の十二月三十日に、サンパウロ市会計から使途不明の資金一億四千五百万レアルが消失したことをブラジル社会民主党(PSDB)幹部は四日、明らかにした。資金の持ち出しは、国庫局の指示でブラジル銀行が後に債務決済をするために行ったと同党情報部が報告。国庫局と財務省、サンパウロ市前出納長は事実を否認した。同債務は一億五百万レアルに上り、引き継ぎ資産に含まれない債務とみられる。
セーラ市長は、マルタ前市長からサンパウロ市の貸借対照表と資産一覧表を引き継いだ。サンパウロ市会計には返済の意志がない不良債務は皆無と、ルーラ大統領はお墨付きを与えていた。しかし、ブラジル銀行や連邦経済金庫、その他政府系の金融機関、外国の金融機関から多額の使途不明金を借り入れていたようだ。
PSDB幹部によれば、マルタ前市長は政府への債務の十二月分決済を行わないまま離任した。前市政の内外金融機関に対する支払い滞納分として、ブラジル銀行が新市長就任の直前にサンパウロ市の資産を差し押さえたらしい。新市長は、わずか一万六千レアルの資金残高で新市政を始動した。
前市政は十一月時点で一億二百万レアルの支払いのうち、五千八百万レアルを滞納した。十二月は、さらに滞納が累積した。累積した滞納分決済のため政府系金融機関が、セーラ市政の手に渡る前に隠密措置に出たとみられる。財務省や国庫局の高官らは、堅く口を閉じている。
PSDB幹部は、PTと政府関係者の火事場泥棒的な手法を非難した。政府への債務決済不履行は、月一七%の罰金が地方自治体に課せられる。新市政は、前市政の滞納分支払いと罰金で尻拭いをさせられる。
マルタ市政の置き土産である債務について話すため、新市長は二十一日、大統領と財務相をブラジリアに訪ねた。労働者党(PT)市政は理不尽な債務の押し付けをしないと、両人は保証した。しかし、事実は両人の保証と裏腹だった。前市政の未決済分を、ブラジル銀行の手によって差し押さえるという方法で、決済するつもりらしい。
前市政の債務は、本庁の他に地区役所で約七千万レアルが棚上げされている。サンパウロ市が民間企業へ下請けをしたゴミ回収や下水道の保全、下水兼用の小川管理、雨水の貯水槽、アスファルト保全、街路樹のせん定、広場や公園の清掃などの支払いが滞納となっている。
市の資産状態をよそに市民の関心は、路線バス用ビリェッテ・ウニコ(乗り継ぎ可能乗車券)の行く末に集まっている。セーラ市長の選挙公約である地下鉄利用も可能なビリェッテ・ウニコは、〇五年末までに実現するとブシンジェル交通課長が声明を発表した。バス料金の値上げを含めた内部調整が、市と路線バス会社の間で行われる。
前市政と路線バス会社の間で交わされた契約の見直しを新市政は行う予定。バス会社と市の間の交通料金決済方法も変更するようだ。セーラ市政は、通勤対策を都市計画の一環として考えている。通勤対策により、無限に広がる貧民街の膨張を押さえたいとしている。