1月7日(金)
今までは日系で、しかも三世までしか長期日本滞在できなかったが、今後は非日系人や四世にも道が開かれる可能性がでてきた。現在、日本の外国人研修・技能実習制度により、アジアの開発途上国などから約四万五千人が最長三年間滞在しており、この制度をブラジルとも始めることが検討されているからだ。
この制度は、外国人が収入を得るためのものでなく、技能習得を目的としている。(財)国際研修協力機構が運営しており、その担当者が、政府間交渉や説明会を開くために十一日に来伯する。一行は同日に首都ブラジリアでブラジル政府と協議、十三日午前十時からサンパウロ総領事館で説明会、十四日にはクリチーバで説明会、その晩には帰路につく予定だ。
サンパウロ市の説明会には、文協、県連、国外就労者情報援護センター、JICA研修OB会、外務省研修OB会、アセベックスなどの関係者が招待されている。
サンパウロ総領事館の西山巌領事は、「三世までしか日本へ行けない四世問題、日本国内で起きているデカセギ問題との関係で、今回の動きが出てきたと聞いています」と説明する。
この研修制度(一年間)は、日系社会にデカセギブームを起こした日本の入管法改正と同じ一九九〇年に、現在のように開発途上国から幅広い分野で受け入れる形になった。
入管法改正が日系人向けであったのに対して、こちらは非日系外国人を呼ぶ制度であり、日本の外国人労働者導入に関する〃二つの車輪〃ともいえそうな制度だ。現在は毎年五万人前後だが、同総領事館によれば、日本政府としてはさらに増やしたい意向を持っているという。
研修制度に加え、九三年から開始された技能実習制度(最大二年間)は、雇用関係の下でより実践的な技術、技能等を修得させ、その技能等の諸外国への移転を図り、それぞれの国の経済発展を担う「人づくり」に一層協力することを目的としている。
つまり、合計すれば最長三年間、研修や実習をしたりしながら日本滞在が可能になる。
現在は、中国、インドネシア、ベトナム、タイなど中央・東南アジアから十四カ国から受け入れている。「実習」と言いつつも、デカセギ日系人よりも安価に雇用できるため、実体としては「労働」に近いとの批判を受ける引き受け先企業もあり、制度を悪用して不法就労するケースが増加したため、現在では細かな部分まで規定化されるようになった。
近年、デカセギ青年らによる犯罪や非行が多発し社会問題化しており、その代わりに「実習生」に働いてもらうという方向性を打ち出す企業もあるという。
少子化が進んでいる日本では、さらになる労働者不足が予測されており、外国人労働者を求める声が経団連など、産業界を中心に上がっている。
今回の動きが現実のものとなれば、日系人だけですでに二十七万人いるデカセギは、非日系人や四世世代を巻き込んで拡大し、さらに数万人上積みされるかもしれない。日伯間の人流を大きく変える可能性を秘めた動きのようだ。