1月8日(土)
〇四年十二月五日に実施された日本語能力試験(国際交流基金主催)で、当日試験問題に誤植が見つかった。最大の受験者数を抱えたサンパウロ会場では実施団体のブラジル日本語センター(谷広海理事長)がその場の判断で処理。夏時間を採用していないベレーンには事前に伝えることが出来、混乱を避けられた。結果的には、不適切な問題だとして採点せず、合否の判定に影響しないことになった。試験後、日本語センターは同基金サンパウロ日本語センターに、予め誤植が分かっているのなら報告してほしいという要望を出した。これに対して、同センターは「当日は緊急連絡先を設置、万全の態勢で臨んでおり、問題は無かった」としている。
誤植があったのは、二級で文字・語彙問題の一つ。選択肢が「1・2・3・4」となるところが、「1・2・2・4」となっていた。規定によると、試験の内容について質問があった場合、試験官はコメントしてはならないことになっている。
受験者から指摘を受けたクラスだけ、その場の判断で処理した。サンパウロ会場は誤植が分かった直後、ほかの五都市の会場と連絡を取り合った。対応は(1)マニュアル通り質問に答えなかった(2)常識に従って「2」を「3」に訂正した(3)気が付かなかった──に分かれた。
当日サンパウロ会場に、基金関係者は姿を見せなかった。日本語センターは、自身で処理することが出来る範囲と判断、連絡をとって基金関係者の指示を仰がなかった。
ただ、試験後、誤植があった事実と対応方法を報告。これに合わせて、予め分かっていることは、試験前に通知してほしい旨の文書を添えた。というのは、日本との時差の関係で、ブラジルでは試験開始時間に、誤植が見つかっていたはずだからだ。
基金サンパウロ日本語センターの説明によると、日本側から誤植の件について、事後指示がFAXで入ったのは、日本時間の六日十二時十七分。ブラジルでは五日の深夜に当たり、既に試験は終わっていた。
(1)ブラジル日本語センターが実施責任者であること(2)日本とブラジルに緊急連絡先が用意されていることなどから、対応上の問題は全く無かった、というのが基金サンパウロ日本語センターの見解だ。
能力試験は日本への留学・研修の採用判断基準や日系企業団体の職員への応募条件にもなり、日本語教育界では重要視されているもの。遠隔地はともかく、事務所のあるサンパウロでは、会場に足を運ぶべきというモラルの問題は残りそうだ。