海が何より好きだ。メキシコやミクロネシア諸島など世界各地で、海底洞窟や巨大ザメとの遭遇を求めてスキューバダイビングを楽しんできた。
最も美しかったのは「アンダマン海の真珠」と称えられるプーケット沖に浮かぶピピ島だ。
六年前の正月休み、妻と二人でこの「天国」にいた。南北八キロ、東西四キロの細長い同島は、商業化とは無縁で、素朴な雰囲気が売り。滞在中は時間が止まったかのような感覚を満喫した。
また、後にこの島を一躍有名にする、ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」のロケを目撃する幸運にも恵まれた。
そんな楽園が地獄に一転した。昨年末のスマトラ沖地震の津波は、最大十メートルの高さで同島を蹂躙。島民や旅行者を容赦なく飲み込んだ。
「自然の脅威」と片付けるには余りにも大きすぎる犠牲。わずかな義援金しか送れない自分がもどかしい。 (記)
05/1/8