1月11日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】連邦政府の各州に対する治安対策補助金が年々削減されていることで、州保安長官らは強い不満を表明するととも、政府に抗議文を送付した。
ブラジリア連邦直轄区を含む、二十七州の保安長官で構成される全国防犯連合(SUSP)によると、昨年の国の補助金は三億レアルと過去五年間で最低の水準で、二〇〇一年と比較すると一億レアルの削減となった。今年は一応四億レアルの予算が計上されたものの、昨年十二月の時点で配分が決まったのは一億二千万レアルのみで、残りが執行に移される保証はないという。
不平の急先鋒に立っているのがパラナ州で、国の交付金は二〇〇三年に千三百四十万レアルだったのが昨年は六百二十万レアルとなり、今年の予算では三百五十万レアルと年々半分近く削減されている。同州長官は「パトカーのガソリン代にも満たない額」と言及している。
いっぽうでミナス州は、二〇〇三年は三千万レアル、昨年は一千二百万レアル、そして今年は六百五十万レアルと同じ道をたどっている。これにマット・グロッソ州長官を加えた三州が中心となり、十五州が連名で政府に向けて抗議文を送付した。
長官らによると、国庫予算は最低十五億レアルが妥当との考えを示している。さらにSUSPは連邦政府が旗上げしたにもかかわらず、イニシアティブを取るどころか逆に活動範囲を狭くしているとしている。サンパウロ州は抗議文に署名せず、これに関しては沈黙を守っている。同州は昨年三千二百八十万レアルの補助金を受けた。
これに対し国家保安省は、各州への昨年の補助金は総額一億八千百八十万レアルで、このほか省内で一億千七百三十万レアルの防犯用経費が支出されたとしている。内訳は過去二年間のパトカー購入、指紋照合機器、DNA鑑定設備、IT関連など。また補助金は各州の犯罪発生件数、人口、GDP(国内総生産)など総合的に見て振り分けるとのこと。
しかし関係筋は、ルーラ大統領は公約に挙げたにもかかわらず、治安対策にはさほど関心を示していないと指摘する。経済成長、国際収支バランス、失業、貧困などの大衆受けする政策は推進するが、治安という影に隠れた部分には心を動かさないという。国家保安省の元高官は、同省から数々のプランが提出されたが、陽の日を見ずに大統領の執務机の中で眠っていると公言している。