先日ブラス区を歩いていたら、麦わら製品の専門店をみつけた。オイアポケ街の小道だ。
規格外れのつばをもつ帽子が目を引いた。体全体がすっぽり影に覆われるくらいの大きさだ。酷暑の海辺で暮らす人たちが着用するものらしい。
それぞれの風土にふさわしい形のつばがあるものだと感心する。この〃大つば〃帽子を、青空の狭いサンパウロ市の陋巷でかぶればやはり滑稽だろう。
麦わら帽子というと、西欧の近代絵画や童話に描かれるような亜麻色髪の少女をまず連想する。日本では、袖なしシャツを着てセミ採りに興じている少年の姿が浮かぶ。
などと考えつつ、齢三十に閲した男が試着した。鏡に映ったのはあの夏の少年か、あるいは流れた月日の残酷か。 (大)
05/1/11