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33歳 骨埋める覚悟で頑張る=プロ野球広島の玉木楽天へ移籍=日系3世最後の挑戦=「50試合は投げたい」

1月12日(水)

 新天地でも頑張るので、応援よろしく――。今季からプロ野球パリーグに新規参入する楽天に、広島カープで活躍する日系三世の玉木エンリッケ重雄投手(33)が移籍する。すでに昨年二十七日には仙台市内の球団事務所で記者会見し「連投がきくとところをアピールし、五十試合は投げたい」と力強く宣言している。

 アチバイア市出身の玉木は、毎年シーズンオフの年末に帰省しているが、昨年は移籍に伴い帰省は断念。玉木投手を幼少から知るアチバイア文協の辻修平会長を通じて、ニッケイ新聞社にメッセージを寄せた。「骨を埋める覚悟で頑張りますので新球団の楽天を応援して下さい。東北へお越しの際はぜひ試合を見てください」とコロニアから熱い声援が届くことを期待している。
 一九七一年生まれの玉木投手は、五歳から野球を始めカスペル・リベロ高校卒業後に、社会人野球の三菱自動車川崎に入社。九六年にドラフト三位で広島入りした。
 日系野球界が生んだ最大のスターで、九年間の広島時代には中継ぎの主力として三百十四試合に登板。三十二勝、二十三敗、八セーブの記録を残している。
 二〇〇三年には右肩を負傷したが、昨年は復活し三十七試合に登板し、ブラジル人ならではのスタミナと制球力の高さが評価されていた。即戦力を求めている楽天だけに球団関係者は「これで投手陣の層が厚くなる」と大きな期待をかける。
 義理堅いことで知られる玉木投手だけに、アチバイアの恩師である辻会長には自ら電話で移籍を報告。「単身赴任でなく、一家揃って仙台に移ります」と新天地での活躍を約束したという。
 玉木投手の日本行きで大きな役割を果たしたもう一人の「恩人」でもあるサンパウロ州野球連盟の沢里栄志オリビオ会長も、楽天での活躍を期待する一人だ。
 アチバイア文協野球部の少年チームで頭角を現した十代半ばの頃から、玉木投手に注目していた沢里会長は「小さいころからコントロールのいい子だった。確かに年齢的にはベテランだが、力で押さえ込むタイプではないので年齢は関係ない。まだまだやれる」とベテランならではの投球術を高く評価する。
 「トレードは大きなチャンスだと思っています。広島魂を持っていき、頑張りたい」と語る玉木投手の新しい背番号は69。杜の都でプロ人生最後の挑戦を始める日系三世にコロニアからも声援を送りたい。