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コラム 樹海

  移民社会は「県人意識」が強い。日本在住時、オレは△△県人だ、と意識しない人でもブラジルに来れば、県人会にはまり込んだりする。だから、都道府県全部の県人会ができあがる▼一世が元気で諸活動の一線にいたころ、事業に成功して、人並み以上の資産を持った人が、同県人とわかったとき、「へぇー」という軽い驚きや、ちょっぴり羨望と誇りを感じたものだ。たいていの人が体験していると思う▼最近、北海道新聞に「強豪ひしめく秋田の高校球界、楽天効果に期待」とあった。強豪ひしめくといわれる割には秋田県勢の甲子園での実績は今一つだ。それでも高校球児の中から、落合博満、山田久志ら日本を代表するプロ選手が育った▼記事は、楽天イーグルスが仙台に進出、東北地方を拠点に活動するので、刺激を受け、秋田の球界にも好影響がある、と期待する内容だった。記事中に落合や山田のほか、現役で活躍する個性的な好選手の名を見て(秋田県出身の筆者は)改めて「へぇー」と見直したのである▼日本にいては、意識しないことを、意識させられる移民社会。県人会が組織される原点といったものがよくわかる。もう一世層の間では、新たな成功者や資産家が出たりするのは稀になるだろう。だから「おや、あの人が、同県人なのか」といった意外感も残念だが、持てそうにない▼知識人や資産家は子孫からはどんどん出てくるだろう。しかし、かれら同士で、あの人は△△県人のムスコだョ、という話にはなるまい。 (神)

05/1/12