1月13日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】フルラン開発相は十一日、ドル安傾向に対する打開策として政府は外国為替の制度、とくに輸出手形の決済について見直しを検討中であることを明らかにした。
これはサンパウロ市アニェンビーで始まった製靴モード展の演説の中で公表されたもので、昨年十八億ドルの輸出実績を挙げた製靴業界がドル安による輸出減少を危惧していることに対して、その懸念を払拭するための発言となった。
同相は、ドル安は今年中に改善に向うとの見通しを示したが、それ以前にブラジルの為替制度の改革が必要だとし、パロッシ財務相とともに改革の中身の詳細について検討中で、三月までには改善策を決定するとの意向を明らかにした。
現在の制度では輸出業者は短期間に手形を決済(外貨建てをレアルに換金、つまりドル売り)しなければならず、相場の安い時点でもドル売りを強いられる。これを長期的に見てドル売りの時機を自由に選択できるようにする必要があると同相は指摘。また手形の分割決済ができぬため、大口輸出のドル売りがあると市場にドルがダブつき、相場下落の原因となる。これを防ぐため何がしかのコントロールが必要だと訴えた。
外為専門のエコノミストによると、ブラジルの為替制度は一九三〇年から八〇年までに制定されたミイラ政策だという。それによると外貨は全て中銀に集中される仕組みになっており、輸出業者は船積み後、百八十日以内にドル売りが強制されている。中には商品により三十日と限定されているものもあり、相手国からの入金以前にドルを先売りしている。為替レートは当日売りで予約制度はない。先進国ではフローテング・システムが取られ、自由に売買できるシステムとなっている。またリスクがある場合は、為替レートの先物予約も可能だ。
サンパウロ州工業連盟は、二〇〇二年のドル相場は四レアルで、〇三年の不況に伴って輸出に努力し、軌道に乗ったと思ったら二・七〇レアルに下落したと不満を表明、政府の対策を促した。
フルラン開発相はこれに対して、不満はもっともだとした上で、しかし今年の輸出は一二%成長するという当初予測を維持するとの見解を示している。短期的には中銀の外貨準備金へのドル買い、さらに一月に入っての輸入の急増により、決済のためのドル買いが集中すると予想され、ドル安解消につながるとの見方を強めている。