1月15日(土)
十四日付け日本経済新聞によれば、新春恒例の「歌会始の儀」が十四日午前、皇居・宮殿「松の間」で開かれた。今年のお題は「歩み」。天皇、皇后両陛下や皇太子ご夫妻ら皇族方の歌のほか、ブラジル在住の原田清子さん(88)ら一般応募約二万七千首から選ばれた入選者十人、陛下に招かれた召人(めしうど)の清水房雄(本名渡辺弘一郎)さん(89)、選者の歌が古式ゆかしい独特の節回しで朗詠された。
宮内庁によると、天皇陛下の歌は、今年終戦六十年を迎えるに際し、当時戦禍により苦難の人生を歩んだ人々に改めて思いをはせて詠まれた。
皇后さまは、陛下と夏の朝に散策の折、病気の治療を受けながらもすがすがしく歩まれるお姿に安どした心情を詠まれたという。皇太子さまは、登山の苦労や楽しみをこれまでの人生に重ねられ、療養中の雅子さまは、秋に赤坂御用地をご一家で散策した際、皇太子さまの励ましと愛子さまの健やかな成長がご自身の大きな支えとなっていることへの感謝の気持ちを表現された。嫁ぐ紀宮さまは、これが最後の歌会始。人々の幸を願い日々公務に精励する両陛下の長い道のりに敬愛を込められた。
【天皇陛下】
戦(いくさ)なき世を歩みきて思ひ出づかの難(かた)き日を生きし人々
【皇后さま】
風通ふあしたの小径(こみち)歩みゆく癒えざるも君清(すが)しくまして
【紀宮さま】
新しき一日(ひとひ)をけふも重ねたまふたゆまずましし長き御歩(みあゆ)み
【ブラジル 原田清子さん】
アマゾンに七十年の我が歩み大旱(おほひでり)に遭ひ洪水に遭ふ
また、十四日付け読売新聞によれば、来年の歌会始のお題は「笑み」と決まり、宮内庁から応募要領が発表された。
お題は「笑(ゑ)み」だが、「笑」の文字を使用していればよい。言葉は違うが、「笑(わら)ひ」でも差し支えない。お題を詠み込んだ未発表の自作の短歌で、一人一首に限る。用紙は半紙を横長に使い、右半分にお題と短歌、左半分に郵便番号、住所、電話番号、氏名(本名、ふりがな付き)、生年月日、職業を毛筆で縦書きする。病気や障害がある場合は、代筆やワープロ、パソコンなどを使ってもよく、別紙にその理由(代筆は代筆者の住所、氏名も)を書き添える。目の不自由な人は点字も可。海外からは、用紙、筆記用具とも自由。締め切りは九月三十日(消印有効)。
あて先は「〒100・8111 宮内庁」で封筒に「詠進歌」と書き添える。応募要領は同庁ホームページ(http://www.kunaicho.go.jp/)にも記載されている。