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毎年1名以上派遣 5年前より19県人会減少=継続廃止の明暗分かれる=九州ブロックはほぼ「無傷」=県費留学・研修制度

1月15日(土)

 外務省の補助金カットに伴い一昨年浮上した県費留学生・研修生派遣制度の存続問題。各県人会単位で、継続を母県に求めたり、制度のOB・OGらでつくる日本留学生研修員ブラジルOB会(ASEBEX)が署名活動をしたり、国会議員を通じて外務省に陳情するなど懸命に存続を願ってきた。しかし、このほど県連がまとめた現状報告によると四十七都道府県のうち、毎年一名以上の留学生を確保している県は五年前より十九県減少したことが分かった。一方で派遣期間が短い研修生については四県が廃止したのみで、五年前と比べると三県減にとどまった。
 一昨年春に浮上した存続問題では、一致団結して継続を求めたい県連の意向に対し、多くの県が母県からの通達を待つという「受け身」の姿勢が目立った。一方で、当初から積極的に情報収集し、往復旅費の自己負担など一定の自助努力の姿勢を見せた県などでは継続されるなど、明暗が分かれた格好になった。
 九九年には三名を確保していた宮城、四人を送っていた千葉がそれぞれ廃止された一方で、数多くの移民を抱える九州各県では、留学生の派遣がなくなったのは佐賀のみで、最多となる福岡の五人を筆頭に宮崎、沖縄が三人を確保するなど九州ブロックはほぼ「無傷」の格好だ。
 ほとんどの場合期間が一年間となる留学生制度に対し、半年前後の派遣になる研修生では母県側の負担も少ないことから、派遣がないのは東京、大阪、福岡、宮崎にとどまっている。
 将来的には同制度がより、先細りになる可能性があるため、県人会だけでなく県連やASEBEXも危機感を募らせている。
 「この制度があるお陰で先祖のルーツを知ることが出来る。若い世代の日伯交流には欠かせない」
 次世代にもこの制度を活用してもらおうとASEBEXでは、一月から留学生・研修生を志す若者らに「留学・研修準備セミナー」を実施。実際に日本での生活を知るOB・OGらが日本についての基礎知識や文化や習慣、生活の心得などを伝える。
 昨年終了した署名活動では最終的に三千三百五十一人の賛同を集めたASEBEX。「私たちASEBEXだけでなく、制度がなくなれば県人会と若者の接点が少なくなる」と将来性が懸念される県人会にとっても重要な問題だと指摘する。
 母県と定期的につながりを持つ貴重な機会となる留学生・研修生の派遣制度。県連では、日本へ若者を送ることが県人会の生き残りにつながると、「あの手この手」の方法を先日作成した冊子「ブラジル県連」に盛り込んだ。
 県費留学生制度が廃止された後でも、JICAや文部科学省、日本財団など日本側はもちろんのこと、サンパウロ州研究支援財団、国際医学生連盟などブラジルサイドに頼っての留学が可能であることを紹介している。
 県連によると、日ごろの問合せの中で、留学生制度について質問が最も多いことから冊子の中から、留学生・研修生制度についてまとめた部分だけをコピーして用意。「様々な制度があることを知ってもらいたい」と話す。