ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 零細小企業、輸出に活路=始まる組織作り=物産展で競争力確認=6年で4500社が輸出開始

零細小企業、輸出に活路=始まる組織作り=物産展で競争力確認=6年で4500社が輸出開始

1月18日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】輸出振興庁(APEX)は十五日、小規模・零細企業が輸出に活路を開いていることを明らかにした。新進の輸出企業数は、〇三年の三百三十六社から〇四年には八百六十五社へと二倍以上に増えた。過去六年間では輸出に全く未経験だった四千五百社が、輸出を手掛けた。そのほとんどは小規模・零細企業とされる。国内市場不振の中、海外物産展や経済ミッションへの参加などで、これらの企業は活路を見出したようだ。

 小規模・零細企業にとって海外進出する最も容易な方法は、物産展と経済ミッションへの参加だという。海外物産展で見る外国製品は、価格と品質でブラジル製品が十分対抗できると見られた。小規模・零細企業の代表参加者は、異口同音に自信の程を呈した。国際市場でブラジル製品の占める割合は一%に過ぎないが、努力と時間を掛ければ国際市場で覇を競うことができると関係者はいう。
 小規模・零細企業は、まだ組織的に輸出産業を形成するには至っていない。これら企業群の海外進出には大企業の後押しが必要だが、小規模・零細企業の組織作りは始まっている。これまでの小さな先兵が、運輸資材や電気製品などで頭角を表した。輸出を国内不況時の安全弁とする従来からの考え方はもはや終わり、輸出は立派な市民権を得たようだ。
 サンパウロ州アルトゥール・ノゲイラ市にある幼児用衣料のアパレル・メーカーは、裏庭で縫製を営んでいた。会社代表は欧米を旅行し、宝の山を発見した。世界で有名なサッカー・チームの幼児用ユニフォームをイタリアで売り出してそれがヒット。幼児用ユニフォームは、スイスやドイツから注文が殺到した。
 続いてドイツのハンサ・ロストック社と帽子やスニーカー、普段着などの幼児用セットの輸出契約を交わした。欧米のバイヤーを迎えるのに裏庭は格好が悪いと同代表はカンピーナス市に新社屋を建設した。
 サンパウロ州バウルー市で化粧品を製造していた無名のメーカーはメーキャップ・セットに賭け、外国から反響を得た。しかし、国内では自信があるが外国の公衆衛生法に不案内だとし、目下猛勉強中だ。欧米や中近東諸国からセットへの引き合いが殺到しているという。
 APEXは新たな輸出希望者の台頭を歓迎し、海外進出の指導に当たっている。外国市場への道案内や協力者の紹介、これまで未開拓だったアラビアやアフリカ諸国の紹介などを行う。リベリアなどは、ブラジル製の家具が現地の趣向に合うと歓迎されている。
 これまで輸出という発想がなかったセメントが、外国市場に目を向け始めた。セメント・トゥッピーは、ヴァーレ社のリオデジャネイロ州セペチーバ港から八十万トンのセメントを輸出する。同社は、輸出を仲介した会社から為替差損の補填と低利融資を受けることになった。
 いっぽう、小規模・零細企業の進出に胸を貸したアルゼンチンは、フルラン産業開発相がメルコスルを軽視したと非難した。同相がメルコスルを余り期待の持てない市場と位置付けしたことが、心証を害したようだ。同相はアルゼンチンのメーカーが設備投資も近代化もせず、ただブラジルの家電製品を輸入制限することを受け、隣国に引導を渡した。