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サンパウロ州の経済力は弱体化=生産より金融重視で富は一極集中

1月18日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】カンピーナス総合大学(Unicamp)の研究によると、現行の経済政策が継続されるなら、サンパウロ州は他州と比べてその経済力を早々にも失うことになるという。
 研究を行ったポシュマン教授は、サンパウロ州の一人当たりのGDPは現在の三位(一位連邦直轄区、二位リオデジャネイロ州)から二〇〇八年までに七位に、一二年までには十一位にまで転落すると警告する。工業化が進んだ一九七〇年代にサンパウロ州のGDPは国内全体の三九・五%を占めていたが、〇二年には三二・六%にまで低下した。
 しかし、一方で逆の現象も生じている。アンドレカンポス氏の研究「ブラジルの高所得者」に基づいて同教授が試算したところによると、サンパウロ州の高所得世帯数は八〇年の十九万千八百から二〇〇〇年には六十七万四千五百に増加し、全国の高所得世帯数に占める割合は三七・八%から五八%に上昇している。
 こうした矛盾を同教授は、富の金融化が進んだためとみる。高所得層が投資先を生産部門から金融市場に向けたことで、中低所得層に所得が移転せず、一人当たりのGDPが減少したのではと推定する。高金利、国内需要の低迷、レアル高による輸出の先行き不安などのリスクに直面した企業家らは生産意欲をそがれ、資金を金融投資に向けるようになったという。「サンパウロ州は利益を生むために生産することをやめてしまった。富は生産連鎖を通じて再分配されず、銀行家など、それを転がす人々の間に集中している」と同教授は述べた。