1月21日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】中銀は十九日、基本金利(SELIC)の引き上げを発表した。通貨政策委員会(COPON)の満場一致の決定を受けたもので、これまでの年一七・七五%から〇・五%アップの一八・二五%とした。同委員会の議事録と決定の趣旨は二十七日に発表される。
基本金利の引き上げは昨年九月から毎月行われ、連続五回目となった。一部では引き上げが予想されていたが、時期が早いのと、〇・五%という高率に驚きをもって迎えられた。もちろん産業界は反発している。CUT(統一労組)のマリーニョ委員長は、バケツで冷水を頭から浴せるようなものだと批判した。
これに対し金融界では、金利引き上げは中銀がいかにインフレ抑制に神経質になっているかを表したもので、さらに短期間の内に再度引き上げの可能性もあるとの見方を示している。少なくとも今年上半期は引き上げ気運あるいは現状維持で推移するとみている。今年は昨年並みの経済成長が望めそうにないことから、経済界の圧力で、下半期に引き下げがあり得ると予想している。
いっぽうでインフレについては、金利引き上げは歯止めになるかも知れぬが、根本的解決には至らないと指摘する。メトロや電車などの公共料金の値上げや、二月からの新学期に向けて授業料の値上げなど消費者物価指数が高騰するため、政府目標のインフレ率五・一%の達成は困難とみられている。世界的な好況に移りつつあることで、原材料の高騰も不安材料となっている。
昨年末までの連続四カ月の金利引き上げで、ブラジルの発行済み国債の金利は、八百五億レアルの補足金利が生じた。これにより国債の負債総額は史上最高の八千百十九億七千万レアルとなった。今回の金利引き上げでさらに総額は増える。ルーラ政権二年間の国債発行高は一千八百八十七億八千万レアルとなっている。
いっぽうで、今回の金利引き上げにより、ブラジルの向う一年間の実質金利(インフレ率を差し引いたもの)は、世界一の「栄誉?」に輝いた。GRCコンサルタントが世界四十カ国を比較したもので、ブラジルは一一・九%でトップに踊り出た。二位はトルコ(昨年までのトップ)の九%、三位がエジプトの五・八%、四位がサウジアラビアの五・五%、五位がメキシコの四・四%、そのほかニュージーランド、インド、ハンガリー、南ア、オーストラリアの順となっている。