1月25日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】スペインのザパテロ首相が二十三日、初の公式訪問で来伯、二十四日にルーラ大統領と会談した。同首相はブラジルへの投資案件、国際入札の応札、同国の中小企業の対伯進出、ブラジル人の労働力導入などについて大統領と討議した。
これに先立ち同国のビイア工業相は、ブラジルはスペインにとって南米大陸の最も重要な政略の拠点だとし、ラテンアメリカ最大の経済国の基盤を確立するとともに、官民一体の設備投資を始めとする政策改革を敢行するなど、常に前進しようとする姿勢を評価するとの見解を示した。またメルコスルとEUの協定が三月に締結される予定で、それ以前に両国首脳会談が急務になったと、首相の訪伯を位置づけた。
スペインからブラジルへの投資は三千四百万ユーロに達し、アメリカに次ぐ経済提携国となっている。しかしブラジルへの進出は大手企業に限られていることから、同首相は中小企業にも道を開けるよう要請した。そのためには、ブラジル政府の金融支援、税制恩典や協定が必要だとの態度を示した。また国際入札については、ブラジルの制度は不透明な部分が多く、コスト高だと指摘した。
いっぽうで、同国では(EU全般の傾向だが)少子化の影響で労働力不足に直面しており、ブラジル移民あるいは出稼ぎを導入したいとの意向も明らかにした。これは長期的問題なので、できれば若い世代を優先したいとしている。同国の人口は四千三百万人で移民は三百万人、将来十年間で一千二百万人の人手が必要とのこと。
同首相はサンパウロ市で二十四日から二十六日まで、同国政府主催で両国の投資関連セミナーに出席する。
これに対しEUの政治アナリストで著名な英国人アッシュ氏は、今回の同首相の訪問は、中国、インドとともに次代を担うブラジルに対し、EU諸国に先がけて関係を強固にするのが狙いだと分析している。
ザパテロ首相は学生や若者層の支持を受けて、同国で初めて当選した左翼の夕力派として知られている。マドリードで二〇〇三年十一月、イスラム教徒が起こしたテロ政撃で百九十二人が犠牲となったことで、テロ徹底抗戦を打ち出した後いち早くイラクから撤兵してブッシュ政権に背を向けた。また、中絶を容認したほか、離婚や同姓同士の結婚を認めたことで、カトリックのローマ教会の怒りを買い、対立している。