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第5回日系農協活性化セミナー開幕=南米21農協代表が集う=28日まで意見交換など

1月25日(火)

 コチアや南伯産業崩壊後の日系農協の再出発を支援し、発展を促進するための第五回日系農協活性化セミナーが二十三日、サンパウロ市内のニッケイパラセ・ホテルで始まり、アルゼンチン、パラグアイ、ボリヴィアなど南米各地から二十一農協の代表が集まった。日程は二十八日までで、お互いの意見交換、専門家の講演、現地視察などを行う。ブラジル農業拓植協同組合中央会とJICAの共催。
 組合員数四千六百人を誇る最大級の日系農協、北パラナのインテグラーダ農業協同組合の小山晃ジュリオ副理事長は、「日系人の長男は農業を継ぎたがらない。我々は、若者の目を開くよう、農業はこんなにいいんだということを理解してもらうような講演会など企画している」と説明した。
 同農協では人材への投資として、講演会のほかジア・デ・カンポ(農地視察)、訓練などに力を入れている。組合員の息子で、電気工学で大学を卒業した人が、講演会に参加して考えを変え、現在は農学部に入学し直して農業を継ぐ意志を見せているという実例を紹介した。
 「三、四世に世代は移ろうとしているが、我々の目から見るとまだまだ未熟だ。リーダーが不足している。組合主義を理解してもらえるよう、地道な作業を続けていかなくては」と語った。
 〃リンゴの里〃サンジョアキン・リンゴ生産者協会の梅宮マコト理事長は、三万四千トンのリンゴを生産し、EU、北米、アジアにまで輸出するという。多角経営を進めるため、ワイン用ブドウ、ブルーベリー、桃などの生産を今年から開始するとの取り組みを紹介した。
 六十二万キロの胡椒(白/黒)を生産する、パラー州のトメアスー農業協同組合の坂口わたるフランシスコ理事長は、「現在収容能力千三百トンの冷蔵倉庫をさらに一千トン増やしたい」との希望を語った。倉庫の収容能力が生産量の上限となっているからだ。
 アマゾン地域では八十五種類もの熱帯果樹の栽培が可能だが、あまりに選択肢が広く、農家はその時に値段のいい作物を作りがちなため、農協の農産加工計画に従った生産をしてくれない傾向があると報告した。さらに、同農協は十三種類の熱帯果実の冷凍加工をするが、加工する機械が作物ごとに異なるため、収穫期間以外は遊んでいるとの課題を述べた。
 アルゼンチンのブエノス・アイレス県ラ・プラタ市にあるメルコフロール切花鉢物生産者組合の森田健一さんは、二世は学校に入れてもらったり、JICA試験場で勉強するなど、いろいろな知識を持っているが、それが活用できていないという。「日本はこうだと言われても、あまりにレベルが異なっていることもある」と分析した。「ブラジルの日系三、四世がどう親から受け継いで頑張っているかを勉強したい」と語った。
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 午前八時半からの開講式でJICAサンパウロ支所の石橋隆介次長は、「食の安全と環境との調和、先進国では誰が生産したかを表示するなどの情報開示が求められている。それを踏まえた活発な議論をしてほしい」と語った。
 続いて、農拓協の原林平会長は、「今年は五年目の節目。当事業継続へ向けての積極的な意見をお聞きしたい」と問いかけた。
 サンパウロ総領事館の山口克己領事は、昨年の第四回セミナーでパラグアイの日系農業協同組合中央会の会長として参加した田岡功さんが、同年中にパラグアイ全権大使として日本に赴任したことへのお祝いを述べた。加えて、「南米日系農協連絡協議会発足より、横のつながりがさらに拡大するという話を聞き、頼もしいという感情を得ている」と語った。
 開講式の後、各農協が自己紹介し、問題点、課題と今後の事業計画などを発表した。