1月27日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】国内市場の物価を下げる手段として、一時的に輸入関税を引き下げると述べたルーラ大統領の発言に対し、全国工業連盟(CNI)のモンテイロ会長は二十四日、工業界にはマージンが高く、インフレを後押ししている部門もあるが、物価対策としての関税引き下げには限界があると反論した。
同会長は、インフレは悪循環により生まれているとして、政府にも責任があることを指摘した。「政府は支出をますます増やし、増税を行い、公共料金を上げ、そしてインフレを生み出している」。経済成長の維持が政府と工業界の目的であり、そのために双方が対話を続けることが重要であると訴えた。
「輸入を増やせば、関税を引き下げても見返りが何もなかったという、一九九〇年代初めに犯した過ちを我々は繰り返すことになる」とブラジル貿易会(AEB)のカストロ副会長は述べ、関税引き下げは、EUや米国との自由貿易交渉に不利になると主張した。
エコノミストらは、関税引き下げはインフレ抑制につながらないと批判。鉄鋼などは国際価格が高騰しているため、輸入を増やしても抑制にはつながらず、レアルプラン実施前とは違って現在の関税レベルはすでに低いと評価する。
サンパウロ州工業センターのヴァース所長は、ドル安がすでに輸入を十分刺激している上、現在のインフレは国内市場で決まる自由価格ではなく、公共料金などの統制価格が原因であるとし、関税引き下げは基本金利上昇を正当化するための言い訳に過ぎないとの見解を示した。