1月29日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ルーラ大統領は二十七日、ポルト・アレグレ市で開催されている世界社会フォーラムに出席、三十五分にわたる演説を行った。しかし大統領が壇上に上るやいなや、ブーイングややじ怒号がわき上がった。
これらは労働者党(PT)の反主流派や学生連盟、NGO団体、土地占拠運動(MST)らが組織したもので、口々に大統領に対し「裏切り者」を連呼した。いっぽうでPT主流派はこれらのやじを打ち消すため拍手を送り続けた。会場はさながら宿命のライバル同士が対決するサッカー場の様相を呈し、大統領の演説中、会場は怒号と拍手の渦と化した。
フォーラムが開会された二十六日には双方の運動員が同市に集結していた。学生連盟ら反政府派は市内の空地でキャンプしながら、反政府のビラを配り、デモ行進を行った。現政権は経済政策ばかりに気を取られ、社会問題をおざなりにしていると彼らは主張する。公約の一番に挙げておきながら実行しないのは「裏切り行為」だと決めつけている。
いっぽうで現政府派は、PTや労組の運動員を他州からバスで送りこんで反対派の動きを封じる作戦にでた。開会日には一万一千枚のPTのロゴ入りTシャツと党旗を配布して市中をデモ行進した。さらに二十七日は会場で七千枚を配布した。ルーラ大統領の演説に際し、会場の要所を占めるべく、八時の開門を一時間早めて運動員を送り込むという人海戦術をとった。これが功を奏して反対派はごく一部しか入場できず、しかも隅に追いやられたため、会場では拍手が勝った。入場できなかった反対派は会場前でルーラ大統領の人形とアメリカの国旗を焼いて気勢を上げていた。
ルーラ大統領は演説の中で、ブーイングややじは一九七五年に労組活動に身を投じて以来、聞き慣れて耳にタコができていると述べて笑いを誘い、「今反対している若者達はPTの少年兵で、成長して一人前になったら党の真意を理解し、必ず我が党に戻ってくる」とし、その折には我々は両手を広げて歓迎すると煙に巻いた。いっぽうで貧困問題にふれ、今からスイスのダヴォスで開かれている世界経済フォーラムに行き、先進国に支援を呼びかけると述べた。これに対し反対派から「自国の貧困と社会平等を見直せ」とのやじが飛んだが、気にする素振りは見せなかった。