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FTAA交渉、再開へ=ブラジルが米に呼びかけ=04年5月に中断して以来=米、メルコスルとの交渉は拒否

2月1日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十一日】ロバート・ゼーリック米通商代表(USTR)は三十日、米州自由貿易圏(FTAA)交渉についてセウソ・アモリン外相と対話を再開することを受け入れた。FTAAで伯米関係は暗礁に乗り上げていたが、魅力的部分を模索しようというブラジル側の呼びかけに米側が胸襟を開いた。FTAAというケーキに乗っているチェリーは、メルコスルと米国間の資本財や消費財輸入に対する関税の削減または撤廃とされる。

 ブラジル側の呼びかけは、ダヴォスで開催中の世界経済フォーラムの席上で行われた。同代表は最初、外相の呼びかけを拒絶したが、南北米大陸に誤解の溝を造るのは不如意であるとして対話再開に合意した。ゼーリック代表は近日、ライス米国務長官の補佐官就任のため通商代表を辞任する。
 事実上交渉打ち切りとなっていたFTAA交渉で三十四カ国の合意を取り付けることは、気が遠くなるほど複雑だ。こうなるとFTAAは通商以前の問題になる。投資基準と知的所有権だけが、全地域共通の議題として話し合えるだけだ。
 米側は米州三十四カ国を包括したFTAA設立を希望しており、メルコスルと米国の交渉は拒否した。ブラジルが4+1に固執する限り、FTAAは葬られると米側はみている。二〇〇四年五月以来、FTAA交渉は完全にストップした。ブラジル側は、FTAA交渉は休眠中に過ぎないと認識している。
 外相は混沌としたFTAA交渉に大通りを開けたいと執心しているが、開いたのは細い道程度だ。ワシントンで二十三日、ブラジル側からバハジアン・メルコスル大使と米側からオールガイヤー代表が、対話再開に向けて接触する。
 FTAAを葬った最大の難関は二つ。農産物の補助金とネオコン(新保守主義)が後押しする知的所有権。農産物補助金では、米側が五年と十年の段階的排除を打診してきた。また砂糖やオレンジ・ジュース、たばこなどには、割り当て枠を提案していた。
 知的所有権では、報復条項が盛り込まれていた。ブラジルがソフトの不法コピー海賊版を取り締まらないなら、FTAA加盟国は合同でブラジルからの農産物輸入を禁じるというもの。アモリン外相は同様のケースで、エクアドルのバナナが対米輸出を禁じられ、エクアドル市民の死活問題となったことを挙げた。国際法を盾に大国が弱小国を死に追いやることの国際的道義性を追及した。
 ゼーリック代表は辞任後、国務省で国際問題担当官となる。同代表がこれから、ラテン・アメリカ問題でどんな見解を採るか関係者が注目している。ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領を後方支援し、米政府にFTAAで楯突いたブラジルをどう位置付けるかも今後の課題だ。
 ハイチ問題でもブラジルは率先的に協力をしたが、経済支援はいくら待っても先進国から来なかった。ブラジルが派遣した平和部隊は、塗炭の苦しみを強いられた。権利の主張には積極的でも、義務の履行には消極的な先進国の姿勢に非生産的な側面が伺えると外相はいう。