イラクの議会選挙が成功裏に終わったのは喜ばしい。米の狙撃兵が銃を構えイラクの兵士らが厳戒するなかでの選挙だったが、投票率は60%を超えるらしいし、国民らの多くは新しい国を建設しようと立ち上がったところがいい。それでもテロ集団の選挙妨害は続き犠牲者が40人を超えたのは何とも痛ましくも悲しい▼選挙と言っても、我々が馴染んでいるのとはかなり異なる。議会の定員は275議席なのだが、立候補者は約7500人。政党と会派は111だそうだから、とても日本などとは比較にならない。イラクの人口は2600万人、このうち1300人が登録済みの有権者。と、数字だけを見れば簡単に考えがちだろうが、同じイスラムなのにシ―ア派とスンニ派の二つがあり、これは歴史的にもあまり仲がよくない。それに加えて―クルド人もいる▼独裁と専制政治のフセイン前大統領は、スンニ派であり化学兵器でクルド人を大量殺戮したことで知られる。クルド人はトルコでも好感度は低い。イラクでも冷遇されるのが常であって―選挙といっても複雑であり厳しい。それでも60%超もの投票し(イラク選管は72%と発表しているが―)たのは、初めての自由選挙であり、国造りに国民が一歩踏み出したと評価したい▼選挙ではシーア派が完勝したようだが、これはイラクのイスラム信徒のうち60%がシーア派との関係と見ていい。反フセインという政治色が表面化したともいえるし、このまま進めば憲法制定もさほどの困難もなく実現すると期待したい。 (遯)
05/2/1