2月2日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】中央銀行は三十一日、ドル通貨が一・四%値下がりして二・六一レアルとなり、二〇〇二年六月の水準に戻ったと発表した。中銀はドル購入の続行を宣言していたが、何ら効を奏さなかった。予想インフレ率は一週間で五・七〇%から五・七四%へ上昇。政府の〇五年度目標インフレ率は五・一%なので、関係者の予想に反して基本金利の引き上げにさらに拍車がかかる気配となった。一方、外資の調達にはドル安が追い風となった。
中央銀行は為替市場を抑制できない。インフレの沈静化も萎えた。ドル通貨の暴落は続行し、中銀の努力は徒労となった。インフレ対策に関する通貨政策委員会の議事録によると中銀は十二月以来、ドル購入に奔走してきたが事態は悲観的だ。
政府や民間企業の外資調達は追い風に乗り順調だが、反面ドル安に拍車をかけている。政府は三十一日、二十年満期で年利八・九%の国債を発行し、海外で十二億五千万ドルを調達した。三十一日取引開始とともに十億ドルを売り出したが、市場の噂で買い注文が殺到した。
これで〇四年九月から始まった中銀の金利引き上げの続行は、三月まで確実とみられる。インフレ圧力も今年一杯、高まると関係者はみる。基本金利も現在の一八・二五%から、二月に一八・五〇%へ引き上げられるとみている。三月は一八・六三%になる予想。
先物金利市場は三十一日、上昇相場にあり、スワップ(交換取引)確定利付き三百六十日ものは、一八・八〇%から一八・九一%へ引き上げた。高金利の水先案内人である市中銀行は、中銀の奉公人のようなもの。中銀が高金利指向になれば、市中銀行はさらに輪を掛ける。
中銀は十二月六日、ドル購入の入札を始めた。鳴り物入りで、弱気のドル通貨を買った。そのとき国内に、大量の通貨を投入した。インフレ上昇用の薪が、くべられたのだ。
輸出業者は輸出の後退を恐れて、中銀がドル安の歯止めに努力を注ぐと思っていた。輸出業者は一月、まだ大量のドルを持っていた。中銀は輸出業者の味方になると期待していたが、様子がおかしくなった。
中銀が基本金利を引き上げて、さらに投機のドル通貨を呼び込んだ。国内には、輸出業者の手持ちドルと投機ドルがだぶついた。こうして中銀は、ドル安へさらに拍車を掛けたことになった。
基本金利の引き上げがもたらす影響はさらにある。活気を呈し始めた国内経済に水を差すことだ。〇四年の経済成長率は、ルーラ大統領のダヴォス発言通り五・四%だった。それに伴うインフレ上昇はあったが、月間〇・二五%から〇・七五%の範囲だ。中銀発表の〇・五%以上の基本金利引き上げには、当たらない。
インフレ抑制の名目で、国民は高い代価を払いそうだ。基本金利の引き上げで、公共債務の過重決済と経済の後退という重荷が掛かる。そして中銀は、まだ為替相場に弄ばれている。為替を抑制できないから、インフレ予測もできないと関係者は憂慮している。