2月2日(水)
サンパウロ市リベルダーデ区の大阪橋の袂のトイレ前で、ホームレスの日本人男性(沖縄県出身)が住居を拵え、暮らしている。カルナヴァルで日本からの観光客が多い時期なだけに、日系商店主の間で物議を醸している。サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)が救済の手を差し伸べたところ、本人が施設に入ることを嫌ったため、静観せざるを得ない状態だった。同郷人を放置することは出来ないと、沖縄県人会が援護に名乗りを上げた。
この男性は五十代で七〇年代後半に、渡伯。南聖イグアッペで、漁業関係の仕事に就いていたらしい。移住後間もなく、非日系人女性と同棲を始め、娘が生まれた。
その後、家庭が崩壊し、内縁の妻はほかの男性と駆け落ち、ソロカバに移った。男性は娘との面会を求めていたが叶わず、次第にノイローゼになっていったという。
援協事務局は「アル中状態で、結構饒舌に身の上話を語るけど、どこまでが真実かは分からない」と、頭を痛めている様子だ。実は、以前に、この男性は援協の仲介であるペンソンに身を寄せたことがある。「女性を引き込むなどして問題を起したため、出された」(関係者談)。
日本の家族に通知したが、冷たくあしらわれたそうだ。
カルナヴァルで訪伯した日本人観光客が日系人の浮浪者を目にするのはみっともない、とガルボン・ブエノ街の一部商店主は援協に援護を申し入れた。男性は、路上生活のほうが自由だと言って、施設への入居を拒んだ。
手をこまねいているところに、事情を知った沖縄県人会が、援護に乗り出すことを決め、一月三十一日に、事務局職員が面談に向かった。
事務局は「身の上話を聞いて、かわいそうに思った。身なりもそんなに不潔でなく、乞食だという印象は持たなかった。同郷人を助けるのは、県人会の仕事です」と力を込めて語った。今後、役員などと話し合い何らかの策を講じる考えだという。