2月4日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ルーラ大統領は二日、サンパウロ州グァルーリョス市を訪問し、三カ所のイベントに出席した。同市は人口百二十万人で、昨年の統一選挙で再選を果した市長のもと、PT市政としては全国最大の都市となった。大統領の同市訪問は初めて。
同市の体育館で行われた貧困家庭手当(ボルサ・ファミーリア)の支給式で一万人の出席者を前に大統領は、貧困撲滅は選挙時の公約かつ優先事業であって、この手当の支給はその一部に過ぎない、社会福祉に関してはまだやるべき課題が山積しているが、それを遂行すれば財政が破たんすると述べ、社会問題は一般会計の全支出に匹敵するとの認識を示した。と同時に、ブラジルの長年の歴史で社会問題は闇に葬られてきたが、我が政権でようやく陽の目を見ることになるとの見解を示した。
貧困手当支給については、ラテンアメリカ圏内で初めての試みで、貧富の差を是正する手段だとした上で、しかし支給することが本意ではなく、地域産業の活性化で失業を失くし、安定雇用を通じ貧困家庭が自立できる環境作りが必要だと強調した。また、手当支給の実施に当っては、不正や不均等、ミスがあったことを素直に認めて改善を指示したことを明らかにした。
これに関連してマスコミの報道については、政府攻撃の報道でいちいち腹を立ててきたが、報道関係者は社会に対し事実を知らせる義務がある。その役目を果していると評価、政府はその警鐘に真しに耳を傾けるべきだと述べ、これまでの強硬発言とは打って変わり、トーンが下がったことに関係者は驚いた。
さらに市内で新病院の建設現場を視察した大統領は約四百人の関係者を前に、前政権から引き継いだ時の状況は暴風雨が一過した後の状態で、今で言うならアジアを襲った巨大津波みたいなもので、その後片づけに今でも苦心していると前政権をやり玉に挙げた。
また現政権をサッカーの試合に例え、前半が終わり今はハーフタイムの段階で「勝ちムード」を後半戦でも維持するよう作戦を練っているところだと述べた。とくに二〇〇四年は五%の経済成長と二百万人の安定雇用が実現したことで、この調子を維持していきたいとの抱負を語った。
しかし常に不平分子はいるもので、前半五対〇でリードしていても「試合は引っくり返らないか」とか「引分けにされないか」と心配する向きもいると揶揄した。