2月4日(金)
サンパウロ都市圏に隣接しているモジ・ダス・クルーゼス市のイタペチ(Itapeti)で観光農村化に向けた動きが始まった。同地で花卉農園を営む芳賀七郎さん(宮城県出身、コチア青年)と長女の和恵さんが、十二・十三日、十九・二十日、二十六・二十七日、の週末を利用して「夏まつり」(Festival de Verao)を企画している。今年は第一回目だ。
蘭や柿など、国内有数の生産地であるイタペチがサンパウロ都市圏の至近距離に位置していることに着目したイタペチ日本人会が、モジ市(安部順二市長)やSEBRAE(零細・小企業支援サービス機関)と連係して、二〇〇四年八月、「イタペチ農村観光プロジェクト」を立ちあげた(本紙・〇四年八月六日報道)。
もともと、進取の気性に富む芳賀七郎さん(七二)が、野菜や果物や花をセアザ(卸売市場)に出荷するだけでなく「都市部に住む人々を農村部に招き、新鮮な空気を満喫して自然の良さを体験していただこう。同時に、農作物の生産現場も見てもらい、新鮮な産品を直接購入していただくことによって、地域の活性化にも繋げよう」と発想。その一つの手段として、数年前に二十四ヘクタールの土地を購入して、自力で観光農園を作り、数十種類の樹木を数千本植えてきた(本紙・〇三年六月二十一日報道)。
この構想にジャカレイ市で大規模な育苗場を経営している木下喜雄さん(山口県)が賛同した。木下さんは山本喜誉司賞の受賞者でもある(本紙・〇四年十月三十日報道)。この行動が起爆剤となって「イタペチ農村観光プロジェクト」が発足したことは、それに関わったモジ市のトミヤマ・オリンピオ市議が証言している。
「今回の企画は娘(エレーネ和恵さん)が主唱者」と芳賀さん。その和恵さんは「地元のラン栽培者だけでなく、サンパウロ市内の愛好家グループや隣町のグァラレマの栽培者たちの賛同も得ることができました。入場料は要りません。家族連れで来て楽しんでください」と夏まつりへの来訪を呼びかけている。
イタペチ日本人会の梶田ジロウ会長と遠藤雅紀副会長も「農村観光で自然を守る行動の始まりです。私たちの行動が地域活性化の一つのモデルになることを期待しています。皆さん、ぜひ、来てください」と夏まつり企画に揃って期待を寄せている。
会場での食べ物作りに二人の助っ人が現れた。同じ宮城県出身の大立目正美さんと宗像克さん(福島県、七四)だ。宗像さんはサンパウロ市内のピニエイロスで十五年間、「むな寿司」を経営したことがあり、夏まつり会場で作る焼きそば用の紅ショウガやヤキトリのタレ、醤油、などの素材を手づくりで用意する、と意気込んでいる。「営利ではなく、サービス中心です」と和恵さんは祭りの主旨を説明している。
会場はイタペチの「Orquidario Oriental」(通称「芳賀農園」)だ。ヅットラ街道は186キロ地点、アイルトン・セナ街道は44キロ地点、が会場に向かう出口となっている。