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遠隔地向け日本語授業=アリアンサ、開発中=インターネットで 構想どんどん膨らむ

2月5日(土)

 いつ、どこにいても日本語を学べる──。そんな時代が、ブラジルに近々来るかもしれない。日伯文化連盟(=アリアンサ、槙尾照夫会長)が、民間企業のプロ・TVと提携して、インターネット上での日本語コースを開発中だ。遠隔地居住者や忙しい人には、朗報となりそう。日系の日本語教育界では、サテライト授業などで地方の学校を活性化出来ないだろうか、という夢が以前からあった。アリアンサの試みは、遠隔地授業の試金石になるかもしれない。

 講師の栗原渡辺章子さんによると、画面上に教壇を再現、講師が黒板を使って授業を行なう。質問事項は、メールで受け付ける。受講料を事前に払えば、暗証番号を取得でき、有料サイトにアクセス出来るという。
 一課が十五分~三十分で二十課あり、初歩的な日本語会話を習得するのが狙い。着物、折紙などについての文化紹介も加える。「もうちょっと、広い範囲で生徒を獲得するのが大きな目的です」と、栗原さんは語る。
 ミナス・ジェライスやバイーアなどから、日本語を学習したいという問い合わせがちょくちょく寄せられており、要望に応える形になった。デカセギが日本で受講可能だと、期待は膨らむ。
 プロ・TVがコンピューターの技術面、アリアンサが講座内容を担当した。同社は、英語、スペイン語などほかの語学についても同様なプロジェクトを開発中で、三月に一斉にスタートさせたい考えだ。
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 名前の書き方や学校紹介、言葉の意味…。ブラジル日本語センター(谷広海理事長)には、メールでの問い合わせが絶えない。遠隔地教育が今後、注目されるだろうという前触れのようなものだと感じ取っていたという。
 ただ、インターネット上での日本語コースや、サテライト授業の投資効果は未知数。栗原さんも「開発には結構、かかりました。どれだけ、生徒が集ってくれるかは分からない」と不安をのぞかせる。
 語学は、教師がその場で発音を訂正するなどしなければ上達しないという懸念があるからだ。学校まで通う時間的な余裕がない層をどれだけ取り込めるかが鍵を握る。プロ・TVは大々的な広報活動を展開する考えだ。
 衛星などを使って、奥地でも中央の授業を受けられる仕組みが出来上がれば、学習者の獲得や教師の研修などで地方が活気付くだろう。(1)機器の購入やメンテナンスへの支出に耐えうるか、(2)地方にも名が知れた〃スター〃講師の育成──など難題が残されている。
 インターネット上でのコースを突破口に、アリアンサがどこまで遠隔地教育を充実させることが出来るのか。関係者たちは、熱い視線を注いでいる。