ホーム | 日系社会ニュース | 治安改善見られないサンパウロ市=防弾車、7割が保有 個人への普及も進む=日系企業82社が回答=「護衛者配備」は7%=総領事館アンケート

治安改善見られないサンパウロ市=防弾車、7割が保有 個人への普及も進む=日系企業82社が回答=「護衛者配備」は7%=総領事館アンケート

2月5日(土)

 ブラジル日本商工会議所はこのほど、サンパウロ総領事館が会員企業を対象に実施した安全対策アンケートのまとめについて明らかにした。八十二社を対象にしたもので、防弾車の保有状況や社員に対する身辺警備、会社建物や住居の警備状況について調べた。防弾車の保有率は約七割に及ぶ一方で、ボディーガードの配備については約七%と低い数字にとどまった。総領事館では「ボディーガードの配備は、防弾車と同様に誘拐や強盗を防ぐ効果的な手段」とその効果を強調する。

 防弾車については、改善が見られないサンパウロの治安状況を受け、八十二社中五十九社が配備。七二%と比較的高い数字で、二年前のアンケート実施時とほとんど変らなかった。さらに社員個人の普及も五%から十二%に増加した。
 総領事館ではブラジルの防弾車は世界のトップレベルに成長していると指摘。さらに「防弾車であることが分かれば、賊が犯行を諦める」と防犯にも効果を持つと、配備を勧める。
 ただ一方で、同じ箇所を撃たれると弾丸が貫通する恐れがあるので、防弾車の使用にはドライバーの訓練が必要であることも付け加える。
 身辺警護を担当するボディーガードについては七十五社が「なし」と回答。車両の追従警護についてはわずか二社のみが実施しているにとどまった。
 様々な人が出入りするだけに重要性が高い会社建物の警備状況については、雑居ビルや一戸建て、工場など形態を問わず大半の企業が許可証や身分証の形態を義務付けたが、ほとんど対策が行われていない企業もあったという。
 実際、昨年十一月にも大サンパウロ圏にある日系企業工場内に強盗団が侵入し、被害が出た。この社は「防犯体制を設備しようとした矢先を狙われた」とニッケイ新聞の取材に語っていた。
 総領事館は所感の中で「限られた予算の中でも最大限の防犯対策を講じるとともに、被害にあった時には社員の身体に危害が及ばないような安全教育を徹底して欲しい」と話す。
 昨年、サンパウロ市内ではアパート全体を狙った集団強盗が多発し、その多くが邦人企業関係者が在住するジャルジン・パウリスタやパライーゾに集中していることから住居選定も、防犯の重要なポイントになると意識改革を促す。
 メールによるサービスや講習会などを実施する総領事館の安全対策については二十八社が満足、ある程度は満足が四十社、不満が四社――などとなった。
 総領事館に希望する具体的な対策としては新規赴任者用安全対策マニュアルや具体的に効果があった防犯対策などの提供が八社で最も多く、定期的な安全対策の講習会や防犯訓練の実施が五社などと「実践的」な予防法を求める声が多かった。