2月10日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ州工業連盟(FIESP)は八日、高金利とドル安に対処するため工業界が設備拡張と増産を控え、体質の強化へと経営方針を変更していることを報告した。画一大量生産から多種小規模生産へ、投資は最小限に押さえ、設備の多目的利用とラインの代行、人材の再訓練などに戦略は変更されつつある。従来からのライバル企業も含め、国内企業が一丸となって輸出総合戦略を立案中。これだけで三〇%の無駄が省けるという。
業種により異なるが、設備投資は一千万ドルを目安とし、時局へ対応できる体制にメーカーは体質改善を行う。二〇〇四年九月以来定着した高金利政策とドル安など急変する経済環境に対応し、切迫するリスクの軽減を至上課題とする。
鉄鉱石や鉄鋼品、セルロースなど一次産品は最近、国際価格が続騰した。同部門はけん引車となるので、輸出にふさわしい体制を整える必要に迫られている。さらに電子製品や靴、おむつ、下着も高騰した。外国市場は悪くない。
外国からアンネやウエット・ペーパー、おむつの大量注文でフル生産に入ったキンムバリ・クラークのスザノ工場は、部品交換と新規ラインへのスタッフ教育に追われている。新ラインには既存の設備を転用、従来のスタッフを配置して、設備投資は抑えた。
設備は、摩滅の激しい部品に特殊加工を施した部品に交換することにより、稼働能力が倍増するという。同社は一時間当たりの生産能力が三百個のおむつ製造機を四百五十個に改良し、二十四時間操業で生産している。これで全ラインの八〇%で、三〇%のコスト削減を実現した。
リオの女性用下着メーカー、ドゥローレンは、サンパウロ市のウニベルソ・インチモと合弁会社を立ち上げ、営業能力を十倍に上げた。同社はバラエティに富んだ下着を発表すれば、外国からの注文が飛躍的に伸びるとみたが、生産能力が頭打ちしていた。
販売に弱い企業と生産に遅れを取る企業の業務提携が注目されている。ドゥローレンは国内だけで二万二千のネットを持ち、独創的なデザインは海外市場でも高く評価された。ネットを持たない夜会服の有名企業インチモは〇四年下半期、夜会服を七十万着ドゥローレンの販売網から売り出した。
紳士靴のデモクラッタは、新しいタイプの靴を売り出すために新工場を設置するかどうかで悩んでいた。同社は〇四年、靴底と裁断、靴型、新製品部などの機器購入に三百万レアルを投じた。これで工場を新設せずに、既存設備で生産能力を一八%アップした。輸出を担当する新製品部は、生産能力の三倍で稼働している。
工作機械製造業者協会は、大金を掛けない生産能力の増強が〇五年の風潮だという。どの経営者も、現在を将来の見通しが不確定な時代と表現する。政府が二月初めに基本金利の引き上げ継続を表明して以来、メーカーはアクセルもブレーキも踏まない方針。このような状況下では設備投資は小刻みな動きとなる。設備投資の全盛時代は、〇四年に終わったとみられる。