コラム
イトゥの骨董品店を先日歩いていたら、菓子箱が目に止まった。アルミ缶で縦横二十~三十センチほどの大きさ。蓋に桜が満開の頃に写した弘前城の写真が使われており、五十レアルの値が付いていた。
ビスケットでお馴染みのドゥシェン(DUCHEN)製だ。店主は「ミナスで見つけたんですが、この缶は優に六十年は経っていますよ」と自信たっぷり。
同社は九六年にパルマラット社の傘下に入った。創業は百年以上も昔。一九一〇年にはビスケットの代名詞になり、五〇年代に市場の七割を押さえた。
菓子箱の様々なデザインが、アンティーク愛好者に人気があるという。移民社会が存在していたとは言え、ブラジル人の日本旅行が盛んだったとは思えない時代。〃東北の小京都〃とは、何となく洒落た気もした。 (古)
05/2/10