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万病の元、侮れない不眠症=年間2万人の死因=極度のいびきも要注意=基本的に治療法はない

2月11日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】不眠症は心臓疾患や脳の病気などの原因となり、放置しておくと死に至る危険性を秘めている。ブラジルでは年間二万人以上が不眠症で命を落としている。リオ州立大学医学部の研究グループが臨床実験と調査で明らかにしたもので、不眠症は肥満、神経過敏によるノイローゼやうつ病、心臓疾患の原因となっている。不眠が続くと翌日は体がだるく動かすのがおっくうとなり、ために運動不足となり、ひいては肥満体へと発展する。このため高血圧やコレステロールが高くなって心臓障害を起こす。また終日眠気が去らないため頭がボーッとして思考能力が落ち、自律神経に異常をきたす。感情の起伏が激しい神経過敏症を起こし、頭痛や目まい、内臓障害の原因となる。
 とくに極度ないびきをかく人は要注意だと警告している。同グループでは、いびきをかく不眠症の患者三百人を調べた結果、七〇%が心臓疾患と高血圧だった。いびきは息を吸い込むのどの部分の筋肉が睡眠中に硬化するため、肺に酸素を送ることが出来ず起こる現象だという。このため口から吸われた空気は鼻に抜けていびきとなる。
 同時に肺に酸素が届かず呼吸困難となり、目が覚めて睡眠は中断される。しかしほとんどの人はこれに気づかず、眠り続けていると錯覚しているという。「八時間寝たのにまだ眠い」という人がいるが、実際は何度も目が覚めていることになる。同グループが一晩の睡眠を実験したところ、この現象を四百回も起こした重症患者がいた。
 極度のいびきは生活を狂わす原因となる。三十八歳の男性は結婚してから寝室に入れてもらえず居間で寝かされたが、結局三年目で妻に家出された。またナイトクラブの守衛をしていたが、眠くて職場で立っていることが出来ずクビになった。ある時はバスで眠りこんでいびきを不快とした隣の乗客と口論となりなぐられた人もいる。
 同グループによると、基本的に不眠症には治療法がなく、適度な運動や健康的な食事など規則的な日常生活を身につけることが肝要だという。いびき防止器具が最近出回っているが、睡眠薬と併用しないと、根本的解決にはならないと指摘する。
 ただCPAPと呼ばれる吸入マスクは圧縮酸素を肺に送り届ける役目をするので効果があると勧めている。問題は一千ドルという高値にある。いびきで悩み同グループの医師の診断を受けた六十四歳の男性は、二〇〇〇年からこの器具を使用して以来快眠が続いている。ただ器具が故障して使用不能となった時は不眠に戻ったため、より精度の高い器具を購入した。生涯の伴呂として肌身離さず持ち歩いている。
 研究グループによると、次に挙げる項目で眠気を催した場合、三点以上に該当すれば医師と相談することが必要だとしている。▼公衆の場で座っている時。▼車の助手席あるいは後部座席で一時間止まらず走り続けた時。▼昼間、休んで横になった時。▼座って誰かと話している最中。▼アルコール類を飲まずに昼食後、静かな場所に座っている時。▼車で信号待ちをする短い時間。