2月16日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】訴訟費用を負担できない人たちを対象に生まれた裁判費の免除制度が、実際には資産家や高額所得者に適用されている。費用を負担できないと申請する簡単な手続きで、免除が適用されるからだ。
ブラジル弁護士会(OAB)の元サンパウロ州支部長アイダール氏によると、免除申請は名誉毀損を中心とする、慰謝料などの賠償金が高額の訴訟に多いという。訴訟するには賠償請求額の一%を裁判費として支払う必要があり、高額の訴訟ほどその負担は重くなる。
百六十万レアルの資産を持つ年金生活者が洗濯機をローンで購入、支払いをすべて済ませた。ところが手違いから販売店は未払いとみなしてブラックリストに載せ、年金生活者は名誉毀損で訴えた。自分は資産家だから名誉毀損の被害も大きいとして、百三十万レアルの慰謝料を請求。しかし、その一方で自分の年金は千六百三十三レアルだからと、慰謝料の一%に当たる一万三千レアルは支払えないと裁判費の免除を申請し、それが認められた。
「自分は貧しいと申請すればそれで終わり。それを証明する必要がある。この制度は悪用されている」と同氏は話す。悪用の結果、裁判費の州の負担分は大きくなっているという。弁護士のリップマン氏は、虚偽の免除申請は一年以上三年未満の禁固刑を定めた文書偽造罪に当たるが、この件で訴えられた人は耳にしたことがないと述べた。