女性宣教師殺害=犠牲者さらに増える=陸軍兵2千人配置へ=140人が死の脅迫受ける=パラー州
2月17日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ十六日】パラー州でアメリカ人女性宣教師が殺害されたことが反響を呼んでいる中、十五日、さらに農務従事者二人が殺害された。宣教師が殺害された十二日に同じ場所で一人が殺害されていることから、犠牲者は四人に上り、警察では緊張を高めている。一連の事件の犯人はまだ逮捕されていない。
アレンカール大統領代行(副大統領兼国防相)は緊急臨時閣議を召集し、犯人の早期逮捕と背後関係などの全貌解明を至上命令とすることを申し合わせた。スリナムを訪問中のルーラ大統領は事を重視し、予定を切り上げて帰国して陣頭指揮を取ることを明らかにした。
宣教師同様十五日に殺害された二人のいずれも、土地係争で農場主が雇った「殺し屋」の犯行の可能性が強いとみて当局は捜査をしている。そのうちの一人は農務従事者労組の幹部だった。二人はオートバイで乗りつけた何者かにピストルで数発射たれて即死した。連警は応援隊を増員して捜査に当っている。
当局はこれまでアマゾン地域で土地係争に端を発して死の脅迫を受けた人のリストを公表することを決めた。このリストに掲載された人数は百四十人にも上り、牧師や宣教師をはじめ、農地改革、人権擁護、農務従事者の生活改善、平和な社会の実現などの運動推進リーダーが含まれている。殺害された女性宣教師も名を連らねていた。これを受けてバストス法相は、連警を増員して常駐させるほか、二千人の陸軍兵士を配置して治安強化に当たらせることを決定した。
いっぽう政府は犯行があったアナプ市を中心に五万四千ヘクタールの土地を国有化し、農場主や木材伐採業者を締め出して小農家に分配した後、残りは環境保全のための森林保護区とすることを決定した。女性宣教師の遺志を継ぐこととなった。また現存の地主に対しては立ち退き料を支払い、不満者とは法廷で争う構えをみせている。
殺害されたイルマン・ドロシーは事前に犯行計画を知り、犯行前日に犯人ら二人に会っていたことが証言により、明るみになった。イルマンは二人の隠れ家に出向き、お祈りした後、バイブルの一小節を読んで二人に犯行を止めるよう諭した。犯人らは納得した顔で明日のミサに出席したいと、時間と場所を聞いたという。翌日、その場所で待ち伏せて犯行に及んだ。
連警は当地の警備に手落ちがあった疑いで関係者から事情を聴取し、場合によっては責任を追求する。