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地域活性化のモデルに=イタペチ夏まつり滑りだし順調=選り抜かれた蘭展示=楽しい食べ物広場も

2月17日(木)

 [既報関連]サンパウロ市近郊のモジ・ダス・クルーゼス市イタペチ(Itapeti)で十二日~十三日に始まった第一回「夏まつり」が順調な滑りだしを見せている。会場となったOrquidario Oriental(通称・芳賀農園)で、地元イタペチ、サンパウロ市、グァラレママ市など数軒の栽培者が出展した蘭が美を競い、来訪者を堪能させている。地域活性化のモデルとして、注目していい。
 サンパウロ市から来たという、自称〃蘭愛好者〃の女性は「文協(ブラジル日本文化協会)で開催されるラン展には欠かさず顔を出しています。出展業者も多く、ランの数もとても多いです。でも、この会場のように、選り抜かれたランを一カ所で見ることができません。きょうは来て本当によかった!」と笑顔をたたえていた。
 会場には「バンダ」と呼ばれる蘭も展示即売されて好評だ。ベランダや棚に吊して楽しむ種類だ。朝の開場時には棚いっぱいに吊り下げられていたバンダが、夕方には残り少なく、まばらになった現象が二日間とも続いた。
 これについて、祭りを企画した芳賀エレーネ和恵さんは「今まで皆さんは蘭を地面や床に置いて上から見てきました。下から上を見て、美を楽しむ新鮮さが受けているのでしょう」と説明している。隣の展示場には、二〇〇〇年三月、当時のコロンビア日系人協会会長・新地学さん(宮崎県)から芳賀七郎さん(Orquidario Oriental当主・宮城県)に寄贈された貴重な蘭が展示されている。
 食べ物や飲み物の会場も元気だ。サンパウロ市内で十五年間、寿司食堂を経営したことがあるという七十四歳の宗像克さん(福島県)が、ヤキソバや冷や奴に手づくりのタレを使っている。特に、冷や奴を食べた女性たちが異口同音に「美味しいわねぇ」を連発する姿が多く見られた。豆腐はスザノ市在住の古老がこだわりで作っているもので、それ自体が美味しいが「そのもののおいしさを一層引き出させるのがタレの役目ですよ」と宗像さん。夏まつりの陰の主役のような存在だ。
 この夏まつりの規模は小さく、始まったばかりだ。だが、イタペチ日本人会の梶田ジロウ会長と遠藤雅紀副会長らの「私たちの行動が地域活性化の一つのモデルになることを期待している」という動きが一歩を踏み出した事実は大きい。イタペチでの第一回夏まつりは二月中の残りの週末、十九日~二十日、二十六日~七日、の四日間行われる。