2月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】セヴェリーノ・カヴァルカンチ新下院議長を迎え、野党は十六日、暫定令二百三十二号を始めとする一連の税制見直しを迫って攻勢に転じた。サービス業や農業、自由業などへの増税を盛り込んだ同暫定令の審議が新下院議長の初仕事となり、セヴェリーノ現象の火ぶたが切り落とされそうだ。新議長は、増税阻止に向け全ての対策を講じると声明を発表した。
新下院議長を迎えた政局は、セヴェリーノ現象として注目されている。個人の所得税一〇%減税の穴埋めにサービス業への増税を盛り込んだ暫定令二百三十二号が、与野党決戦の次の山場とみられる。政府がここで敗れるなら、政局の攻防戦は折り返し点のガダルカナルとなりそうだ。
野党が議会で同暫定令の見直しを迫るとみて、連敗を憂慮したレベロ政調会長は十六日、政府に柔軟な姿勢を求めた。同令はサービス業への税を従来の三二%から四〇%へ増税するもので、新議長を中心とする下議連の不評を買った。
同令は、自由戦線党(PFL)やブラジル社会民主党(PSDB)を始め企業家や生産者の代表から集中砲火を浴びた。農業生産者が産業組合や農産加工会社へ出荷した生産物から、所得税として源泉控除を義務付けられたことも批判の対象となった。
新議長は、政府の税制が中小企業や農業生産者を窒息させる政策であると糾弾し、政府と業界の間で裁判官の役目を務めると宣言した。当国は多数派が物事を決定する民主制を採っているので議会の表決が必要だが、下院が国の資産を創り出す中小企業や農業生産者を踏み潰すことはしないと信じると述べた。
産業界から同暫定令反対の大合唱が聞かれる中、国税庁は同令で予定される増税の税率見直しで協議に入った。下院議長選の敗北が今後、議会関係の書類作成を複雑にすると国税庁は腹をくくっている。同庁は議会との対話チャンネル作りに奔走し、議会活動で過激な変化を避けるよう訴えた。
国税庁は、暫定令二三二号は基本的に完ぺきで、条文の解釈で行き違いがあるだけだとみるが、野党が指摘する部分の一部見直しはやぶさかでないとしている。法案に修正が必要なら、納得行く代案を求めるという。より有意義な代案があるなら、譲歩もあり得るとした。
同暫定令は草案に先立ちパロッシ財務相が、企業家代表に打診し、了解を得ていると国税庁はいう。個人の所得税率だけは本流なので修正は不可能とした。これをいじると、予算編成全体の修正につながるという。所得税率以外は、支流と国税庁は考えている。
農業生産者の所得税源泉控除は、零細農を含めた全農業生産者が課税対象ではないと国税庁はいう。農業収益の九〇%を手にする、全体の三六%を占める大農業生産者が課税対象になるとみる。
サービス部門の税金は、自動車修理所が〇・七二%の実質増税。鉄工所や医院、弁護士など月間所得五万レアル以下の場合、実質増税は一・九二%。五万レアル以上が二・七二%の実質増税。しかし、これを全部見直すというのだ。