2月18日(金)
【エスタード・ド・サンパウロ紙十七日】ゴイアス州ゴイアニア市で十六日、軍警が市内に不法に居住していたホームレスの小屋の強制撤去を行った。これに居住者が抵抗して衝突となり、二人が被弾して死亡、五十五人が負傷した。このうち四人は瀕死の重傷を負い、病院で手当を受けている。
ホームレスらは百三十万平米に及ぶ土地に不法に居住しており、市側の発表によると二千八百六十二人、ホームレスのリーダーは四千人と見積っている。裁判所は不法占拠として、これまで数度にわたり退去勧告を行ってきた。また、パトロールの警官との小競り合いも幾度となく繰り返されてきた。
こうした状況から法務局は強制執行に踏み切り、同日午前九時、機動隊五百人を含む総勢二千人の軍警が出動した。軍警の出動を予期していた住民らは金網や針金をめぐらし、古いタイヤを積み重ねて軍警の突入に備えていた。しかし軍警が裏をかいて、裏側の塀を乗り超えて突入したため住民らはパニックに陥った。
それでも古タイヤに火がつけられピストルを発砲するなどの抵抗を試みたため、現場は煙と怒号、悲鳴が交錯して戦場の有様となった。この間、軍警らは女性,子供、高齢者を誘導し包囲網の外に連れ出した。彼女らは身の回り品、テレビ、食料品を抱えて安全地帯へと避難した。
住民らを制圧した軍警は居並ぶバラック小屋を次々と破壊し撤去作業を始めた、また事情聴取のため八百人の住民を軍警本部に連行した。
現場を視察した人権擁護長官は、二人の死因の徹底調査を命じ、責任の所在を明らかにした上で厳罰に処することを明言した。また、負傷者についても軍警の行き過ぎ行為がなかったかどうか調査を命じた。
軍警側によると、ゴム弾しか使用しておらず、死因は住民が発砲した銃弾によるものだと主張している。いっぽうで同長官は、住民らの家具や所持品を運び出せないまま小屋を破壊したことは人権擁護に反するとして、処罰の対象とするとの態度を示した。