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米宣教師殺害=公有地の立入禁止へ=パラー州=違法伐採に対処=無法地帯にようやくメス=陸軍、殺害犯人に包囲網

2月19日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】連邦政府は十七日、環境保全を目的にパラー州の国道一六三号付近の公有地八百二十万ヘクタールへの立ち入りを禁じる暫定令を発令した。同地方は公文書偽造と不法伐採が横行し、それに反対する環境活動家の殺害などが頻発した。地元のならず者が暗躍、米宣教師他三人が犠牲となったことで、政府が対策に立ち上がったもの。同地方は大部分の土地が未登記で、正式の書類が整備されていない。
 封鎖されたパラー州南部の同地域は〇四年、最も大量の不法伐採が行われた無法地帯だった。シウヴァ環境相と閣僚十人は十七日、違法行為を阻止する政府の対処をルーラ大統領に要請した。さらに植林公団の設立や環境保全事業の促進を定めた暫定令も発令した。
 政府は六カ月をかけて、同地域の違法伐採活動の実地調査を行う。伐採許可を正式に得た企業は伐採を継続ができるが、これからは許可の発行はしない予定だ。土地権利書を所有し地所内の樹林を不法伐採された場合、政府は賠償する。また所有権のある土地は、農地改革の一環として他の土地と交換させるという。しかし、実際には不可能とみられている。
 これまで現地の習慣では樹木を伐採し居住した者が、土地所有者とされた。正式の手続きを行った土地所有者は、皆無に近い。強者の倫理が現地の法律という無法地帯となっていた。
 政府は係争のあった二カ所三百四十万ヘクタールを環境試験場に、パルド山脈国立公園の四十四万五千ヘクタールを環境保全地域に指定。伐採も入植も一切させないことにした。
 植林企業を入札で決めて同地域を分割管理させ、政府は不法侵入者を防ぐ考えだ。アウタミーラ市またはベレン市には連邦管理事務所を設置し、連邦警察と農業協力改革院、自然環境保護院の機能を持たせる。
 また政府は近く、陸軍の治安部隊四百人を殺人事件のあった地域に駐屯させる。先発隊百四十人は十八日、すでにアウタミーラ市に到着した。同部隊は、現地勤務に就く連邦職員の身辺警備を行う。同部隊は十一月、エスピリト・サント州で麻薬組織と対峙した経験がある。
 同地域の司牧を務めるバウドゥイーノ神父によれば、殺し屋が依頼を受けた殺人リストに百六十一人が記載されているという。その内四十人は、土地係争に関わった人物とされる。
 連邦政府は十七日、米宣教師ドロシー・スタング師の殺人容疑者四人を逮捕するため、パラー州三郡のジャングル湿地帯の中に陸軍特殊部隊二千人の包囲網を張った。同地域は雨季のため、全ての道路が浸水し通行止めになっている。
 宣教師殺害の実行犯とみられるエドァルドとフォゴイオの二人は、密林に潜伏中とされる。二人は遠方で雇われた殺し屋で、かくまう知人も手持ち金もなく土地に不案内だ。包囲網を縮小すれば、必ず出てきて網にかかるとみている。
 殺人教唆の容疑者である大地主モウラは、多勢の用心棒に守られながら、小型機で各地の私設飛行場を転々としている。陸軍諜報部は、不審な通信の探知に努力している。