2月19日(土)
目指せ第二のカズ・ヤス兄弟――。元サッカー日本代表のエース、カズ(三浦知良選手)の従兄弟に当たる納谷伊織さん(静岡、22)がサンパウロ州の古豪でかつてカズもプレーしたキンゼ・デ・ジャウーでプロ契約を目指してプレーする。日本のサッカー王国として知られる静岡県の強豪、静岡学園卒業後、国士舘大学サッカー部に所属した納谷さんは今春卒業予定で、弟の協成さんも二〇〇三年からブラジル修行中。かつてカズと兄のヤス(泰年)も歩んだ道と同じく納谷兄弟も「王国」での挑戦を選んだ。十一日に来伯した伊織さんは「年齢的にも時間は限られている。プレーだけでなくハングリーさなど全てを吸収したい」と意気込みを語る。【下薗昌記記者】
伊織さんとともに来伯した父の義郎さんは、県内有数の強豪クラブとして知られる城内FCの代表で、カズ・ヤス兄弟もここから巣立っていった。二人の日本代表を育てた生みの親だ。伊織さんも幼い頃からサッカーを始め、同FCを経て静岡学園に進学。高校二年の時には、全国選手権大会でベスト8に入っている。
「父だけでなく、自分の身近な人がみんなブラジルに憧れていた。僕もブラジルでやりたいと思っていた」と伊織さん。攻撃的MFで味方にパスを送るのが持ち味と語る伊織さんは、義郎さんの勧めもあり、ジャウーでプレーすることを決めた。
現在サンパウロ州リーグ三部のジャウーだが、ブラジルサッカーに精通する義郎さんは「ここの二部や三部で活躍できれば、十分日本のプロでやれる」とキッパリ。ビッグクラブで埋もれるより、まずは出場機会を得ることが大切だ、とエールを送る。
一昨年、中学卒業と同時に一足先にブラジルに渡った協成さんもジャウーのジュニオールで日々、技を磨いている。ブラジルでの経験をきっかけに日本代表にまで登りつめたカズ・ヤス兄弟のように納谷兄弟もいずれは日本での活躍を夢見ている。
城内FCと静岡学園でそれぞれ計三度のブラジル遠征を経験している伊織さんは、食事や文化などへの適応にも問題がない、と言い切る。
十三日に州選手権のジャウー対バレットス戦を観戦し、チームのレベルを確認した伊織さんは「一つ一つのプレーの緊張感が違うのがブラジル。ここで頑張ってプロ契約を勝ち取ります」と力を込めた。