2月23日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ロベルト・ロドリゲス農相は二十一日、波風は立てたくないとしながらも、政府の無方途な金利政策と為替政策は、農業生産者のためにもはや看過できないと訴えた。為替政策も問題だが、それより深刻なのは外資を導入するためと称して世界一といわれる高金利政策を続行すること。それにより国内ではドル通貨の洪水で為替危機に拍車がかかり、農業生産者を塗炭の苦しみに追い込んだと糾弾した。
農相は記者団を迎えて、次のようにブラジル農業の現況を語った。
中央銀行の方針と農業生産者の立場は、ますますかい離している。現状が続くなら農産物輸出は、国際市場で無念の涙を飲む。高金利国ブラジルは、金融資産を求める外資の餌食になっている。中銀は高金利政策が、インフレ抑制で唯一の方法と思っている。
こんな拙劣な経済政策が、いつまで続けられるのか。アジア諸国はドル安の影響を上手に乗り切っている。ブラジルは外国の処方に学ぶべきではないか。政府が経費をたれ流し、高金利によって導入した資金で償う方式は疑問である。
暫定令二三二号はサラリーマンの所得税を減税して、その穴埋めを農業生産者にも負担させようというもの。草案者は誰であるか正体は明かせないが、これは先払い納税。多分、廃案になる。このような納税システムは、前もって資金の流れを明確にするメカニズムを設定する必要がある。
米州自由貿易圏(FTAA)は外務省を通して行った農産物通商交渉が進展しないため、省内に国際局が設けられた。農務省が技術スタッフを交渉の場に参加させ、積極的に道を開く。しかし、外交慣例はイタマラチーの習慣に従う。交渉が硬直化したのは、米国が自国の弱点を隠すため詭弁でゴリ押ししたから。打開のためには、さらに強力な爆弾を用意する必要がある。
対EU交渉は、FTAAと対アルゼンチン交渉が絡んだ複雑なものだった。一つでもつまずけば、全部がつまずく。しかし、原油高騰でアルコールが見直され、事態が変化したのは幸運だった。EUはブラジルの砂糖と牛肉に難色を示していたが、態度が微妙に軟化した。
下院議長の選出では農業団体が、農地占拠運動(MST)に肩入れするグルーンハルフ下議を敬遠し、カヴァウカンチ下議を支持した。自分は五法案の承認を急ぐためグリーンハルフ下議支持に回った。農業団体にも意向を説明して了解を得たが、事態は急転した。
五法案とは一、バイオ安全法。二、農村での奴隷的使役を解消するための農村労働基準法の設定。三、農業生産の現実に即した樹木伐採と植林法。四、農業協同組合法。五、大統領自身が農業振興キャンペーンを行うことなど。
最後にブラジルの未来は、農業大国としてのそれで、政府の夢ではなく、国民の夢だ。三十年後には、世界が消費する食糧をブラジルが供給することになる。そのためには、国策としての農業政策を立案する必要がある。