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CPI、犯罪白書写しを要求=米宣教師殺害=議会、全容解明に=元知事関与の証明が決め手=殺人共同出資制度も

2月25日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】議会の土地係争に関する調査委員会(CPI)は二十三日、ジャデール・バルバーリョ下議(ブラジル民主運動党=PMDB)がパラー州の犯罪組織に関与したとする犯罪白書のコピーをフォンテレス検事総長に要求した。同下議は下院法務委員会へ出頭し、何の根拠もない中傷で迷惑していると述べ、事実の徹底解明を求めた。血生臭い殺傷事件の絶えないアマゾン熱帯雨林の不法伐採を巡っては、同雨林の世界資産登録の声もある。
 土地CPIは白書が事実に基づくものであれば、調査委員会の結論にもなるとしている。問題解決の決定打でもある重要書類が検察庁の引き出しに一年五カ月も眠っていたのだ。土地CPI委員長のアウヴァーロ・ジアス上議(ブラジル社会民主党=PSDB)は、白書の内容が地主らの進めていた十七件の土地開発プロジェクトと同一時期であることが決め手だと述べた。
 アマゾン地方開発監督庁(SUDAM)に申請されていた十七件のプロジェクトに関し、予想される数々の殺傷事件を宣教師は告発した。背後で同下議がプロジェクトに関与したことが証明されれば、事件の全容が把握できると土地CPIはみた。
 同CPIは、白書の登場人物と宣教師殺害に関与した者全員の電話盗聴記録、銀行預金明細表、個人の資産明細書、SUDAMから引き出された資金の流れを調査した。さらに同CPIは、農業協力改革院(Incra)パラー支部長とSUDAM前総裁、農地の不法取得容疑者、農地占拠運動(MST)リーダーなどの召喚を決定した。
 元パラー州知事のバルバーリョ下議は、自分は「幼稚な創作」によるデッチ挙げの犠牲者であると、国会の尊厳にかけ法務委員会の断固たる処置を求めた。パウ・ブラジルなど銘木の不法伐採関与に関する同下議への告発は、一九八七年から始まった。その他数々の告発が裁判所を堂々巡りし、結局二〇〇四年八月、間接関与で証拠がないとして最高裁が告発を却下する判決を下した。
 ブラジル弁護士会(OAB)は事件の関係者が殺害されていることで、バストス法相に重要証言者の身辺警護を連日要請した。法相は検事総長の「爆弾白書」の受理とともに、大規模な警戒態勢と証言者保護の手配を発表。法務省は、特別警戒地域として四区を指定、警戒態勢の強化を行った。
 法務省は専門の係官を現地に派遣し、犯罪組織のメンバーである事業家や地主、土地の不正売買仲介人、資金供給者のネットワークを実地調査する。殺し屋は一件につき、五万レアルの報酬が相場らしい。殺し屋に作業の手順と逃走経路の手配を行う請負人も、連邦警察が洗っている。
 宣教師殺害犯ライフラン容疑者の供述によれば、約束は五万レアル、手付金が一万レアル。殺害命令を下した地主のモウラ容疑者は三千ヘクタールの牧場に牧牛三千頭を所有するが、約束の残金四万レアルが銀行預金にもなかった。地主間には、殺害依頼のための共同出資制度があると連警はみている。モウラの場合は制度からの入金が遅れ、犯人は高跳びに失敗したようだ。