2月26日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】ルーラ大統領は二十四日、公式訪問先のエスピリト・サント州ヴィトーリア市で行われた記者会見で、カルドーゾ前大統領は汚職を働いたが、進言した有力閣僚メンバーには口外するなと「口止め」を行ったと発言し、周囲を驚かせた。
この爆弾宣言に対し、前大統領が所属するブラジル社会民主党(PSDB)は「一国の長として無責任な発言」だと猛反発し、告訴も辞さないとの態度を表明した。与党内でも何を今更と困惑の表情を隠せないでいる。
大統領によると、大統領に就任した矢先に、信頼できる閣僚メンバーの一人から民営化に伴い汚職の疑いがあるとの進言があったという。これに対し大統領は「ここだけの話として」口外は避けるよう命じた。腑に落ちない進言者に対しては、加えて「未亡人と結婚した場合、その両親と子供の面倒を見る義務がある。たとえそのうちの一人が犯罪者であろうとも」と諭したエピソードも披露した。
また批判は前政権にとどまらず、歴代の大統領は目先の政策にとらわれるため一代限りの施政で終わっているとし、一九八六年のクルザードプランや一九九四年のレアルプランは、経済成長のチャンスだったにもかかわらず一代限りで終わったのが良い例だと指摘し、二十年先あるいは三十年先を見据えるべきだと語った。
怪奇炎はとまらず、北東部地方の開発もないがしろにしたとし、現政権が注力しているバイオディーゼル計画、サンフランシスコ流域開発、トランスノルデスチーノ(横断道路)は全て北東部に集中していると強調した。これを例えて、「母親が二人の子供のうち病弱の方をより面倒見るのは当り前のこと」だと揶揄した。
これに対し野党側は一斉に反発、PSDBは問題の汚職の立証を迫るとともに告訴する構えを見せている。国会リーダーはインピーチメント(政治追放)に発展しかねない由々しき問題だとしている。いっぽうでブラジル弁護士会(OAB)は、汚職の疑惑があったなら、その時点で法務省に調査を命じるのが常識だとの見解を示している。
「進言」を認めている社会経済開発銀行(BNDES)のレッサ前総裁は、大統領の発言はオーバーだとして、民営化に際し同行内で書類の不備や不良債権が滞納し経営危機に直面しているとは進言したが、汚職には触れていないと明言した。汚職は検事の管轄で私の職権外だとし大統領の発言を否定した。